2016年12月26日月曜日

神戸北野から発信する持続可能な集合住宅 フォーラム&見学会のご案内

1月8日(日)に、「神戸北野から発信する持続可能な集合住宅 フォーラム&見学会」を開催します。
ご都合がつくようであれば、是非ご参加ください。



フォーラムの企画主旨は以下の通りです。



1995117日午前546分に襲った阪神淡路大震災は、様々な教訓をもたらしました。
震災で亡くなった6,434名の魂に報いるためにも、生き残った我々には震災の教訓を活かしていく義務と責任があると考えています。

建築に関連し、震災後、構造をはじめとする建築基準法の改正が様々になされ、より、安心で安全なまちづくりに向けた動きが具体化しましたが、震災によって顕在化し、未だ決定的な解決方法が見つかっていない問題の一つに、集合住宅における区分所有者間の合意形成の難しさがあります。被災マンションの復興の過程において、集合住宅の区分所有者は実質的に運命共同体であり、合意形成が得られなければ、建替えはおろか、補修するにしても、管理組合として具体的な行動が一切行えないという課題が明らかになりました。
マンション建替え円滑化法等が整備されたものの、最終的にある一定以上の多数決で建て替えを進める手段が法制化されたにすぎず、多数決で決が取れない中途半端な状況に対して合意形成の道筋がつけられたわけではありません。多数決で決が取れない中途半端な状況に陥りやすい必然はそのままで、その状況を回避する道筋は、未だ見つかっていません。
持続可能性を合意形成に依存する宿命をいかに乗り越えるかは、日本の集合住宅が持続可能性を獲得する事ができるかどうかの鍵となっています。

阪神淡路大震災後も、日本全国で大量の分譲マンションが供給されたにもかかわらず、そこには合意形成の難しさに対する震災の教訓は全く生かされておらず、日本の集合住宅は、未だ持続可能性を獲得するには至っていないと言わざるを得ません。近年急増している超高層マンションにおいては、課題は一層深刻です。

震災後、様々な形で、この、集合住宅の持つ宿命を乗り越える取り組みがなされてきました。それらは、まだ、日本全体の住宅供給の市場規模からすれば、本当に小さな動きでしかありません。しかし、そこで始まった取り組みは、今後一般化する事により、日本の集合住宅が持続可能性を獲得する事に繋がるかもしれません。

本フォーラムでは、日本の集合住宅の持つ宿命を乗り越える事を目指して今まで試行してきた取り組みの紹介と、それらの取り組みを踏まえて、現在、地域の協力を得て、神戸市北野町山本通重要伝統的建造物群保存地区内で進められている具体的事業の報告を行い、見学会を開催します。

2016年6月20日月曜日

創業20周年を迎えて

2016年6月20日、おかげさまでキューブは創業20周年を迎えました。
これもひとえに、皆様のご支援の賜物であると、心より感謝申し上げます。

1995年1月17日、
壊滅的な打撃が神戸の街を襲いました。
阪神淡路大震災は、
私たちが常識と考えていたものが、
いかに曖昧な根拠の上に成立しているかということを
顕在化させました。

震災から約1年半後、
神戸に誕生した株式会社キューブは、
震災で生き残った者として、
その責任を果たすために、
震災で得た経験を活かし、
より豊かでより確かな都市環境に向けての提案を行い、
従来の枠にとらわれない柔軟な視点から、
再構築することを目指してきました。

この20年間、
マンション建替、
大規模修繕、
共同化事業、
コーポラティブハウス、
パッケージハウス、
リノベーション、
スケルトン型定期借地権事業、
1000年集合住宅、
行政コンサルティングなど、
全てはこの考えに基づいて取り組んできました。

創業20周年の節目となるこの年に、
私共なりの到達点として、
持続可能な集合住宅を目指す「1000年集合住宅」である、
「神戸ハウス北野」に取り組む事ができました。

さらに今年は、

・「スケルトン型定期借地権」を応用した、優良なストック蓄積に向けた定期借地権分譲マンション

・「1000年集合住宅」の新たな展開となる、テラスハウス再評価に向けた分譲テラスハウス

等々も予定しています。

私共は、
これからも初心を忘れることなく、
震災で生き残った者としての責任を果たすための活動を、
続けていきたいと考えております。

今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

2016年3月18日金曜日

神戸北野の伝統的建造物群保存地区で1000年集合住宅誕生!



神戸北野は、神戸市中央区の山麓部に位置し、異人館と呼ばれる明治期以降に建設された洋風住宅が和風住宅に混ざって点在する地区で、異国情緒豊かなまちとして国際都市神戸のイメージを顕著に代表しています。この中で、とりわけ多くの伝統的建造物が集積する約9.3haは「伝統的建造物群保存地区」に、 また伝建地区を含みこれと一体的にまちなみを形成すべき約32haは神戸市都市景観条例に基づく「都市景観形成地域」に指定されています。

神戸北野の伝統的建造物群保存地区の中でも、最も古く開発されたエリアに位置する約2000㎡の邸宅跡地について、今までにいくつもの分譲マンション等の開発計画がありましたが、この地域の持つ歴史的風致が不可逆的に失われかねないと、周辺地域からの強い反発もあり事業化に至りませんでした。
しかし、これだけ大きな土地が未利用のまま放置されている事は、地域景観や防犯性を著しく低下させるだけでなく、いずれ強引な事業者により、地域の魅力を失わせるようなものが建設されかねないという懸念が残っていました。

そんな状況の中、マンション法制を専門とする戎正晴弁護士と株式会社キューブ(神戸市中央区、代表取締役:天宅 毅)が共同開発した事業フレーム「1000年集合住宅」を初めて採用した、株式会社ゼロコーポレーション(本社:京都市北区、代表取締役社長:金城一守)の事業「華り宮嵯峨二尊院」が京都で竣工し、ここで採用した「1000年集合住宅」を「北野・山本地区をまもりそだてる会」の浅木会長に紹介した所、是非、この事業フレームで懸案となっている2000㎡の邸宅跡地を検討してはどうかとの提案を受けました。

1000年集合住宅」は、下記のような特徴を持っています。
・地域の歴史的風致に合致したセミデタッチドハウス(2戸1連棟住宅)を分散配置
・市街地の住宅では得る事の難しい独立性と開放性を確保
・団地管理組合により街全体を維持管理する事で、植栽剪定、清掃、街灯等を管理
・街区全体を門扉と塀で囲むことにより、高いセキュリティ性を確保
・団地管理規約により、1戸単位での建替えルールを設定
 ⇒一般的な分譲集合住宅では難しい円滑な建替え更新への道を開く
 ⇒建替え更新が繰り返されても、周辺の歴史的風致に合致した街区の景観は維持される
 ⇒持続可能な集合住宅の実現(=1000年集合住宅)

一般的な分譲集合住宅は、いくら長期耐久性を確保し、適切に維持管理しても、寿命が来た時には区分所有者間の合意形成という大きなハードルを乗り越えることができなければ建替え更新することができません。どれだけ頑張っても合意形成という問題を先送りする事はできても、根本的に解消する事が困難であるのは区分所有建物の持つ宿命とも言える本質的問題です。「1000年集合住宅」は1戸単位での建替え更新への道を開き、合意形成のハードルを極限まで低くしました。しかも、そのルールを区分所有法に基づく団地管理規約で設定する事で、周辺の歴史的風致に合致した街区の景観が維持されるだけでなく、超長期的にそのルールが陳腐なものとなった場合には、区分所有者の合意によってルールを改正できるようにしています。持続可能性を持っているかどうかは、想定する時間軸を極端に長く伸ばしてみた時に明らかになってきます。一般的な分譲集合住宅でも、長期耐久性を確保し、適切に維持管理すれば100年程度は持たせることが可能だと思いますが、おそらく1000年持たせることは不可能です。この事からもわかるように、集合住宅が持続可能性を持つことは、ハード面だけではなく、ソフト面も包括しなければ達成する事ができないのです。そのような思いを込めて、私たちはこの事業フレームを「1000年集合住宅」と呼んでいます。

このような特徴を持つ「1000年集合住宅」を、神戸北野の地で計画できれば素晴らしいと考え、神戸市の各担当部局と協議、調整を重ねた結果、行政にも事業主旨をご理解いただくことができ、実現できることとなりました。周辺地域に計画概要を説明した際も好意的に受け止めていただく事ができました。
そして、株式会社キューブの企画・設計に基づき、京阪電鉄不動産株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:三浦達也)が土地を取得し事業主として、株式会社ゼロコーポレーションが施工者として事業を進めることになりました。本事業は長期優良住宅の認定も受ける予定です。
持続可能な集合住宅を目指す「1000年集合住宅」を、団地管理を含む様々な区分所有法改正のきっかけとなった阪神淡路大震災で被災した神戸において、しかも神戸の街のイメージを象徴する北野町で、神戸開港150年を記念する年に実現できることに私達は感謝しています。
この度、株式会社キューブの販売提携により、【神戸ハウス北野】として、4月上旬から販売を開始する事になりましたので、お知らせいたします。

本件に関するお問合せ先:株式会社キューブ 担当:天宅毅(アマヤケタケシ)
            TEL078-222-9515 FAX078-222-9516
            e-mailinfo@cube-3.co.jp

◇物件概要
 名   称/神戸ハウス北野
 所 在 地/神戸市中央区北野町2丁目254他(地番)
 地域・地区/第二種中高層住居専用地域、第三種高度地区、
              北野町山本通伝統的建造物群保存地区
       景観計画区域(北野町山本通都市景観形成地域)、
              宅地造成工事既成区域、準防火地域
 敷 積/2030.03㎡(道路後退面積15.12㎡含む)
総 戸 数/12  
構造規模/木造2階建連棟住宅6棟  
住戸専有面積/99.81㎡~118.51
   分譲後の権利形態/敷地:区分所有者全員の住居専有面積持分割合による所有権の共有
          建物:区分所有
 竣 定/平成291月下旬(予定)

◇地図



◇模型写真