2012年7月27日金曜日

今までの取り組み(ル・パッサージュ北野)


現在、キューブは北野山本地区におけるコーポラティブハウスとしては第3弾となる、神戸北野・山本通コーポラティブハウスⅡの参加者募集を行っております( http://www.cube-3.co.jp/yamamoto2_top.htm )。
ここでは、神戸北野・山本通コーポラティブハウスⅡのすぐ近くで、昨年10月に竣工したコーポラティブハウス、ル・パッサージュ北野(プロジェクト名称:神戸北野・山本通コーポラティブハウス)の事業内容についてご紹介いたします。

アンビエンテ北野(プロジェクト名称:北野町コーポラティブハウス)の竣工に伴い、キューブのオフィスも神戸市中央区磯上通2丁目のワールド三宮ビルから現在地に移ってきました。
アンビエンテ北野を紹介する際にもご説明しましたが、北野・山本地区は地域活動が活発だと聞いておりましたので、新しい住宅開発事業に対する地域からの反発を懸念していたのですが、非常に好意的にコーポラティブハウスを受け入れていただきました。
http://cubecooperative.blogspot.jp/2012/07/blog-post_04.html
キューブは北野に移転以来、自治会活動等にも積極的に参加し、出来る限り地域との関わりを大事にするように努めてきましたが、地域の事を知れば知るほど、この地域の特殊性と魅力を実感しております。


この地域は異人館街のある観光地として、今や全国的に知られていますが、京都や奈良のように寺社仏閣のような具体的な観光対象があるわけではなく、観光資源は単なる住宅地です。単なる住宅地ですが、その住宅地の雰囲気がエキゾチックで魅力的なので観光地化しているにすぎません。そういう意味では、観光地化するほどに、魅力的な住宅地であると言えます。このように、住宅地の雰囲気が観光対象となっている観光地は、他にはほとんど無いのではないでしょうか。


この地域は明治の開港以来、外国人と共存する閑静な住宅地でしたが、約30数年前、NHKの朝の連続テレビ小説「風見鶏」の舞台となり、エキゾチックな地域の魅力が全国に知られたことで一気に観光地化しました。それから30年以上経過し、今では国内に留まらず、海外からも多くの観光客がこの地域を訪れています。


北野・山本地区は、地域の自治会と商業者組合、婦人会等からなる「北野・山本地区をまもりそだてる会」という組織を30年以上にわたり運営しています。
http://kitano-yamamoto.com/
当初は急増した観光客による観光被害対策を中心に活動していましたが、住宅地としての魅力、観光地としての魅力、商業地としての魅力等、地域の持つ様々な魅力をまもり育てる運動を継続して活発に行っています。
この組織が中心となって、毎年ゴールデンウィークに地域住民等のボランティアにより北野坂に大きな花絵を描く「インフィオラータ」の開催も継続10年を超え、今や地域の風物詩の一つとなっています。http://www.infiorata-kobe.net/


実際に地域の一員となって最も驚いたのが、これほど都心でありながら、まるで田舎のような地域コミュニティーが生きていることです。この地域には外国人居住者も多く、就労形態も多様ですが、お互いに差異を認め合い、共存する環境があたりまえのような価値観が共有されています。そのことが、大都心でありながら、今でも田舎のような地域コミュニティーを生かし続けているのかもしれません。


当地域が学校区であるこうべ小学校は、公立の小学校でありながら多くの国々の児童が集い、国際感覚にあふれ、地域との関わりも活発です。
こうべ小学校HP:http://www2.kobe-c.ed.jp/kob-es/index.php?page_id=0
こうべ小学校PTA:http://kobeepta.blogspot.jp/


様々な魅力的なショップや飲食店も多く、ミシュランに掲載されているレストランの数は徒歩圏内だけでも20店を超えます。


このような魅力的な地域で、アンビエンテ北野に続く、新たなコーポラティブハウスを企画したいと常々考えておりましたが、なかなかコーポラティブハウスに適した事業用地を見つけることができませんでした。そんな中で、山本通2丁目の商業地域で、わずか43坪の土地が売りに出されている情報を見つけました。敷地面積がわずか43坪とはいえ、商業地域なので許容容積率は400%と高く、商業地では容積率を消化する前提で土地評価される為に、低度利用では土地評価に見合った事業を構築することができません。従って、1戸建てにするには土地価格が高すぎ、ディベロッパーがマンション計画するには敷地面積が小さすぎ、従前は時間貸し駐車場として利用されていました。このように、住みたい人が多くいる魅力的な地域にありながら、一般的な事業手法では事業化が困難な状況でした。しかし、立地といい、規模といい、コーポラティブハウスにはピッタリと言える土地でした。



プランニングしてみると、各階に専有面積約70㎡の住戸がワンフロア1戸づつ積み重なり、最上階に約100㎡のメゾネット住戸の、計7戸の計画で、ほぼ許容容積率を消化できることが確認できました。この計画を元に事業計画を構築し、募集を開始することになりました。


募集は、キューブのホームページへの掲載( http://www.cube-3.co.jp/coopera_yamamoto.htm )と、周辺地域へのポストカードの配布のみで、全住戸参加者が確定しました。募集時の反響は大きく、予想していた以上に、この地域の居住ニーズの高いことがわかりました。
1フロア1住戸が基本なので、いずれの住戸も都心とは思えないぐらい、明るく風通しの良いすまいを実現することができました。




各階の窓を見ると、内部プランが様々であることがわかります。




窓が多く、開放性に溢れ、低層階でも明るい住まいが実現しました。




可動間仕切りなどで、間取りに可変性を与え、住み方の変化に対応できるようにしました。

中間階のメゾネット住戸

実際募集を開始してみると、より広い専有面積の住戸を求められる方々が少なくなく、一方より小さな専有面積の住戸を求められる方もおられました。そこで、中間階の一部屋を上下階で連結しメゾネットとすることで、85㎡程度の住戸や55㎡程度の住戸に変更し、具体的なニーズに対応しました。

この壁の向こうは、下階のメゾネット部屋


また、和室のニーズにも応えました。



オブジェのように、空間と一体的にデザインされたオーダーキッチン。


スピーカーやプロジェクター、スクリーンを実装した、シアタールームのある住まい。




都心居住を希望される方々の、様々な多様化したニーズに応えることができました。
このようなニーズは、まだまだ潜在的に存在すると感じております。
今回、あまり期間を開けることなく、新たに神戸北野・山本通コーポラティブハウスⅡの参加者募集をスタートすることができた事を、非常に喜んでおります。

http://www.cube-3.co.jp/yamamoto2_top.htm




















2012年7月17日火曜日

神戸北野・山本通コーポラティブハウスⅡの参加者募集を開始します



神戸北野・山本通コーポラティブハウスⅡの参加者募集を開始します。
(※現在は募集を終了しています。)

神戸市中央区の山の手に位置する北野・山本地区。異人館と呼ばれる明治期以降に建設された洋風住宅と和風住宅が坂のまちに混ざり合う独特な街並みは、国際都市神戸を象徴しています。 各線三宮駅や山陽新幹線新神戸駅から徒歩圏内という高い利便性と、六甲山麓の緑豊かで閑静な住環境を兼ね備える北野・山本地区は、全国的に見ても稀有な地域と言えます。
株式会社キューブは、これまでに神戸北野・山本地区に「アンビエンテ北野」「ル・パッサージュ北野」の2棟のコーポラティブハウスを実現しました。この度、神戸北野・山本地区にて新たなコーポラティブハウスプロジェクトが始動します。

様々な文化が混ざり合い、異国情緒に満ち溢れ、都心とは思えないほど緑豊かな自然が魅力の北野・山本地区界隈。
計画地は坂が多いこの地において、主要駅からほぼフラットアクセスで徒歩圏内の好立地。 南側には神戸の教会新生の要であるカトリック神戸中央教会が位置し、日当たりは良好です。


神戸中央カトリック教会


周辺には、閑静な住宅地の中にイタリア料理や、ロシア料理、インド料理、タイ料理など、様々な国の料理が楽しめる人気店が点在しています。徒歩圏内に、なんとミシュラン掲載店だけでも20店を超えてしまいます。北野坂に出ると、数多くのジャズライブハウス、カフェ、雑貨店などがあります。

また、コープやダイエー・ikari など普段の生活施設、大丸・そごうなどの大型百貨店や、市役所・区役所・県庁・郵便局といった公共施設、映画館や劇場などの娯楽施設、スポーツジムなど、数え挙げるときりがない程の生活利便施設が徒歩圏に完備されています。

当地域が学校区であるこうべ小学校は、公立の小学校でありながら、約27カ国の子供たちが同じ机を並べ、毎日が異文化交流。これからの日本が歩んでいくと思われる、多国籍な人々が身近にいる生活が子供のうちから身につけることができる、国際感覚あふれる教育環境も魅力です。

詳細は、下記ホームページで紹介しています。
http://www.cube-3.co.jp/yamamoto2_top.htm




「インフォメーションセンター」にて、物件説明会を、随時開催致します。
 いつでもどなたでも、お気軽にご来場下さい。
ご質問やご相談、何でも結構です。 ( 営業時間 : AM 9:00 ~ PM 6:00 )
フリーダイヤル:0120-669-517
会 場 : 神戸市中央区北野町1丁目5-25 アンビエンテ北野2F  株式会社キューブ

ライン

2012年7月14日土曜日

パッケージハウスの実例:3

絶景の家


神戸の山手、神仙寺通りの絶景の地で計画したパッケージハウス。
上の写真はリビングから南を見渡した、神戸の街の絶景です。
雛壇状の土地条件を生かして、中2階に玄関を設け、2階に高い天井高のリビングを配置、リビングから海を臨む絶景を楽しむことのできる住まいを実現しました。
既にご紹介した絶景の家の隣に建つパッケージハウスです。

左側の黒い家が以前ご紹介した住まい。
右側のアイボリーの家が、今日ご紹介する住まいです。




中2階に設けた玄関には、大きな木面の一部が開く、大きな玄関扉を配置。


玄関扉を開くと、2階リビングへと続く階段と、1階居室へと続く階段による、大きな空間が広がります。


玄関には、ちょっとした明り取り窓があることで、明るく演出。
薄く緑色の入った壁色で、清潔感を演出しています。


リビングへの扉を開けると、大空間を通じて神戸港を一望。
真白な内装で、明るく健康的な雰囲気を演出しています。


高い天井高のリビング。
ダウンライトで、空間をより大きく感じるように演出しています。


リビングのバルコニーからは瓦の波の向こうに神戸港が広がる絶景。



2.5階に配置した寝室にはロフトも設置。
使える空間をフルに活用しています。


落ち着いた雰囲気の和室。


既にご紹介した、もう一つの絶景の家とは、全く異なるテイストの住まいとなっていることがご確認いただけることと思います。
このように、キューブのパッケージハウスは、コーポラティブハウスと同様、住まれる方のライフスタイルや趣味・嗜好に応じた、オリジナルな住まいを実現します。


2012年7月13日金曜日

リノベーションについて:5

新しいリノベーションの手法として、定期借地権とコーポラティブ方式を取り入れた方式をご紹介いたします。この方式は、リノベーションを成功に導く鍵となる3つのポイントを劇的にクリアすることのできる、新しいリノベーション手法です。






老朽化したストックに資金投下するにしても、基本的にはオーナーが資金確保しなければなりません。しかし、耐震補強したり、現代のニーズに合わせる為にはかなり大きな資金が必要であり、投資対効果や社会状況の変化を考えると、なかなか踏み出すことが躊躇われます。


そこで、既存ストックに一旦定期借地権を設定し、コーポラティブ方式で分譲し、購入者が耐震補強を行い、個々のニーズに沿ってリノベーションを行う事業を提案します。
このようにすると、既存ストックのオーナーは資金負担をせずに、既存ストックの活用を行うことができます。
さらに、30年以上の期間を設けて譲渡特約付借地権を設定し、50年以上の期間を設けた一般定期借地権と併用すると、将来の権利保全に関しても安心です。
基本的には、中古ストックを活用したスケルトン定借のようなものです。








このようにすると、従前ストック所有者にリノベーション費用の負担がかかりません。
耐震補強を行うことで、優良なストックを長持ちさせることができます。
また、購入者が自らの希望に応じてリノベーションするわけですから、多様化する住宅ニーズに応えることができます。
コーポラティブ方式で先行募集を図るので、事業リスクが少なくてすみます。
定期借地権なので、空室リスクが無く、将来における時代の変化にも左右されません。
事業を進めるにあたり、解体コストがかからず、建設費も耐震補強およびリノベーション費用のみで済みます。
コスト負担が軽くなるため、大規模な改修を前提とした計画も可能となります。
既存ストックを活用するので、環境にも優しい事業です。


このように、オーナーニーズ、社会ニーズ、マーケットニーズすべてに応える事ができる事業ではないかと期待しています。








この方式に関しては、弊社で手掛けた事業ではありませんが東京で実例があります。
近代建築の巨匠:建築家武田五一氏が設計した、大正15年に建設された学生寮、求道学舎をリノベーションした事業です。




東京大学正門近くで建設され、創建当時はモダーンな外観で、最新設備を誇ったこの建物も、時代の流れの中で、若者のニーズに適合しない面も多くなり、平成11年に閉鎖されていました。
その後、当初は、既存建物を完全に取り壊して、新たな建築を作ることが検討されていました。
しかし、できることなら、建築的にも意義のある現存の建物を残したいというオーナーの気持ちが強まり、建物の保存再生を検討することになりました。
調査の結果、幸い建物のコンクリートの状態は驚異的とも言えるほど良好であり、80年近い時を経ても、頑強さを失っていませんでした。もちろん、一部には風化も見られましたが、総体では健全な部分が8割以上もあり、不良な部分を取り除き、新たに鉄筋・コンクリートを投入すれば、新築同様の強度を回復させることができることが確認できました。建物全体としての中性化についても、アルカリ性を回復する液剤を建物全体に含浸させることで、今後60年間、中性化の心配をしないで済むということも確認できました。





土地の権利は現在の土地所有者が持ち、 参加者は定期借地権にて共同(「準共有」といいます。)で借り受けます。参加者は建物を通常 のマンションと同様区分所有し、参加者で結成する建設組合にて耐震補強も含めてリノベーション(修復)します。つまり、「借りた土地」の上に「今ある建物」を ディベロッパーが介在することなく「参加者で再利用する」のです。


本事業では、各区分所有者は地主と60年後に譲渡特約付借地権により建物買取オプションのある期間62年の一般定期借地権契約を締結することになっています。
60年後、所定の金額で地主が各区分所有者から建物を買い取ることもでき、その場合、当該契約はそこで終了することになっています。その後、希望者に対して、地主様兼家主と相場家賃にて2年間の「定期借家契約」を結び、住み続けることができるオプション(ただし、更新なし)も用意されています。ここまで見てくると、この事業はスケルトン定借のスキームと非常に似通っている事に気付かされます。






このようにして、築80年のモダン建築がマンションとして甦りました。
このプロジェクトは大きな注目を集め、新聞でも紹介されました。
このプロジェクトによって実現された手法は、様々に応用することができると思います。
この手法を応用して、老朽化した既存ストックを優良ストックに生まれ変わらせていく事業も、積極的に取り組んでいきたいと考えています。













2012年7月12日木曜日

リノベーションについて:4

もう一つのリノベーション事例をご紹介いたします。
こちらは兵庫区永沢町に位置する、築年数を経た賃貸マンションの一室のリノベーションです。
専有面積約34㎡のこの部屋は、元々2DKでしたが、リノベーションする目的でスケルトン状態にした所で、このマンションを所有する工務店から相談を受けました。


今回も、周辺賃貸市場の調査を行いましたが、立地は異なるものの、おおむね前回のプロジェクトと同様の状況が確認できました。
そこで、同様のコンセプトに基づき、1LDKの計画を提案しました。
玄関が狭かったので、鏡を利用して、広く見えるように工夫しています。
また、水回りの扉は吊レールとしてデザイン性を演出するとともに枠をなくしてコストダウンを図りました。

メンテナンスコストを低減する為に、壁はAEP塗装、床はPタイルを基本とし、ベッドルームはタイルカーペットとしました。

1階住戸なので部屋の雰囲気が暗くなりがちなのに配慮して、白い内装を中心とすることで、明るく清潔感のある雰囲気の演出を心がけました。

ベッドルームのみ落ち着いた空間とするために、少しトーンを抑えた色彩のタイルカーペットとしています。

水回りの床も、すべて同じPタイルを貼っています。

浴室は在来浴室でしたが、ハーフユニットバスを使って将来のメンテナンス性向上に配慮しました。


キッチンも新設しましたが、従前の換気扇を活かしてフードのみ設置するようにしてコスト削減に努めました。











2012年7月11日水曜日

リノベーションについて:3

以上の内容を踏まえてリノベーションを行った賃貸マンションの実例を紹介します。


神戸は北野町にある昭和47年築のマンションの一室のリノベーションです。
このマンションが建設された当時、ファミリーニーズが旺盛で、主要な住宅ニーズはファミリー層でした。この住戸の専有面積は55㎡程度ですが、とにかく家族で住むことができるように、小さな個室に分割されていました。

長年所有者は分譲貸で賃貸経営をしてきましたが、クロスの貼り替えや、畳の入れ替えをする程度では、近年入居者が見つからなくなってきました。
そのような状況を踏まえて、入居していた賃貸人が解約になり、空室になっても手を入れず、入居希望者が現れた時点で全面リフォームをするように所有者は考えていましたが、半年経っても入居希望者があらわれず、弊社に相談に来られました。

北野町周辺は住宅地として人気があり、この物件が苦戦しているのは需要とのミスマッチにあると考えられました。
そこで周辺の賃貸不動産業者にヒアリング調査を行い、市場動向を踏まえ、1.投資対効果の極限化、2.持続的な相対的競争力の維持、3.メンテナンスコストの削減の観点からリノベーション提案を行いました。

賃貸市場分析をする中で、ターゲット像を新婚夫婦や単身者に絞り込むことにしました。

世帯人数の減少により部屋数志向からゆとり志向へとニーズが変化しています。
さらにエリア的に新築の競合物件が多く、同じような内容であれば築古物件は築浅物件に負けてしまい、築古物件間の価格競争に巻き込まれてしまいます。
また、ニーズが多様化する中で、最大公約数的なニーズに応えるのではなく、少数派ではあるが確実に存在する特定の強いニーズに直接応えることが持続的な相対的競争力を持つことにつながると考えました。

以上の事を踏まえて、下記内容の改修提案を行いました。

・インテリアへの関心の強い顧客にアピールできる改修を考えます。
・このマーケットは中古賃貸における空白領域となっています。
・新築物件と競争するのではなく、古い建物だからこそ活かせる雰囲気を重視して改修を行います。このような視点で改修された住戸は非常に少なく、強い競争力を持つことができます。
・具体的な想定ニーズに直接応えることを意識し、ニッチマーケットを確実に掴むことを目指します。
・広めの1LDK+Nとし、最低限の間仕切りで可変性を持たせます。
・ホテルのスイートルームライクなプランニングを行い、充実した収納により、すっきりとした住み方ができるように配慮します。
・古くなっていたキッチンと浴室は入れ替えます
・玄関から直接中が一望できるプランは避けられるので、一望できない計画とします。
・洗面化粧台等水回りの雰囲気は重要なので、デザイン性の高いものを選択します。
・収納は充実する傾向にあるので、ゆとりある収納を設けます。
・キッチン、洗面への給湯はニーズが高いので給湯できるようにします。
・デザイン性の高い家具が映える器としての住戸が求められているので、器自身の意匠性は強く出ず、インテリアの背景となるように配慮したデザインとします。
・デザイン性とメンテナンス性の両立を目指し、Pタイルの床、AEP塗装壁によりデザイン性を高めつつ、メンテナンスが低廉に行うことができるように改造します。


以上の提案により実現する、具体的な空間イメージをCGで作成し、プレゼンテーションを行いました。その結果、所有者が提案内容を了承し、リノベーションを行うことになりました。

基本的には提案内容は全面的に採用していただけました。
玄関から直接中が一望できるプランは人気がないので扉を設けましたが、デザイン性の高さと明るさを演出する為に、フロストガラスを入れた天井までの背の高い扉を採用しました。

収納量を十分確保するために、リビングダイニングには天井までの扉付きの収納と、電話代を設置しました。


寝室とリビングの間は天井高さまでの背の高い建具で仕切りました。
少しでも空間を広く感じることができるように、厚手のワーロン紙を挟み込み光を通す障子のような建具を天井から吊おろし、出来る限りメンテナンスが必要ないように配慮しました。
従前の天井はすべて取り払い、コンクリート面のままとし、天井の高さとコンクリートの素材感によってデザイン性を演出するとともにメンテナンスがいらないように配慮しています。


外壁面の内壁には構造用合板にオイルステインを施しました。
仕上げを安価におさえると共に、メンテナンスが簡単に行えるように配慮しています。
ウォークインクロゼットへの入り口の扉は枠無の吊構造とし、デザイン性を演出するとともに、コスト削減を行いました。


隣接住戸との戸境壁は白色のAEP塗装とし、デザイン性を高めつつ、日焼けしにくく、汚れた場合でも上塗りすることで簡単に対処できるように配慮しました。
天井には配線ダクトを設置し、入居者の住み方や好みに応じて照明を設置することができるようにしました。


洗面化粧台は一般的なマンションで採用されているものではなく、デザイン性の高い陶器製のシンプルなものにしました。この洗面化粧台は当初コストが安いだけでなく、扉のあるものに比べて壊れる可能性が低いのでメンテナンスコスト低減に繋がります。


便器に関しては、従前のものがそのまま使えたので、清掃のみ行いました。
トイレの壁面や既存パイプは、AEP塗装を行いました。


老朽化した浴槽が設置されていたので撤去し、ユニットバスを設置しました。


以上のリノベーションを、約300万円で行いました。
築30年以上を経過し、当初のまま利用されていた水回りをすべて撤去し、スケルトン状態から全面リノベーションを行ったことを考えれば高くないのではないでしょうか。
このリノベーションを行った結果、従前状況では家賃6万5千円で半年以上入居者が決まらなかった所、リノベーション後は家賃10万円で速やかに入居者が決定しました。