2012年5月31日木曜日

コーポラティブハウスの可能性について

戦後復興に始まる、高度経済成長期の都市部への急激な人口流入の受け皿として、都市に膨大な住宅需要が発生しました。
旺盛な需要に裏打ちされたリスクの低いビジネスモデルとして、日本の住宅産業は戦後急速に発展・拡大してきました。

世界の経済動向を見ると、70~80年代には先進国では実体経済の成長速度が鈍化。
需要の減退により、既に拡大してしまった経済規模が支えきれず、世界は次第に金融経済を拡大させることにより、市場経済を拡大させ続ける戦略に移行します。
その結果、実体経済と乖離した、桁違いの規模の金融経済が世界を動かす時代へ突入していきます。

この影響により、次第に日本の住宅も、本来の目的から乖離し、金融商品として自己目的化していきます。
住宅が金融商品化するに伴い、収益性を上げるために、商品企画の画一化と計画速度の迅速化に徹底して努力が注がれ、「内容」より「量」の確保が重視されるようになりました。
投資対効果極大化に向けて、日本の住宅産業は、障害となる要素を排除、純化する方向に向かっていきます。
そして、不動産・住宅産業は次第に実需から切り離されていきます。

あまりの乖離に金融政策を引き締めた事により、日本では90年代にバブル崩壊を迎えます。
世界ではその後も金融経済が自己増殖し続けましたが、約20年後に世界規模のバブル崩壊を迎えます。
しかし、既に桁違いに拡大してしまった経済規模を支える処方箋が金融以外に見つからない為、世界はまだ出口を見つけることができないでいます。
冷戦終結で勝利したかに見えた資本主義は、その後、逆に自らの限界を露呈する事となりました。
まさに、現代は神なき時代と言えるかもしれません。

さらに、史上類を見ない猛烈な人口減少の波が日本に押し寄せています。
日本人口の長期推移実績と予測
団塊の世代が次第に生産活動を終えつつあり、生産人口は毎年数十万人規模で減少を始めています。
既に日本は住宅ストックが世帯数を上回る時代に突入したとも言われています。
今まで旺盛な需要と金融経済に支えられ発展・拡大し続けてきた住宅産業が、そのビジネスモデルの根拠を失い大きな転機を迎えている事は間違いありません。

一方で世間に目を向けてみると、一般の方々を対象とした、住まいやインテリアに関する新たな雑誌の創刊が相次いでいます。
また、注文住宅や住宅のリフォームの事例やプロセスを紹介するテレビ番組も数多く製作され、継続的に放送されているものも少なくありません。
これらは当然多くの読者や視聴者が存在するから生じている現象であり、住まいの「内容」に対する関心が広く一般に広がりを見せていると考えても良いでしょう。
何故、ここにきて住まいの「内容」に関心が高まってきているのでしょうか。
日本の住宅産業が「量」を追い求めてきたため、今まで切り捨てられてきた「内容」に関心が集まっていると見る事ができるのではないでしょうか。
「量」ではなく「内容」によって「しあわせ」や「ゆたかさ」を実感することを求めているのではないでしょうか。

個別ニーズに応える多品種少量生産の住まいや、人間関係に焦点を当てたコミュニティービジネスは、事業性が低いとして今まで関心を持たれることはありませんでした。
しかし、近年のIT化によって、事業の可能性は大きく広がりました。
ITは公開性・記録性が高く、コミニュケーションにおけるプロセスの透明性を高めるツールとして非常に有効です。
このツールを活用する事で、多品種少量生産に事業性を持たせる事や、距離や地域を越えたオープンな言論空間を実現するなど、様々に新たなビジネスモデルが登場しています。
この技術を生かして、住宅産業が今まで切り捨ててきたニーズに応えつつ、「しあわせ」や「ゆたかさ」を実感できるようなイノベーションを生み出す事ができないでしょうか。
マスマーケット亡き後、住宅産業が向かうべき方向は、今まで切り捨ててきた(だから多くの人々が未だ満足を得る事が出来ていない)、このような潜在ニーズに応えることではないでしょうか。
今まで避けてきた顧客との接点がイノベーションを生む契機であると捉え直すべきではないでしょうか。

 現在、産業構造は知識経済化し、資産価値は「有形資産」から「知的資産」へ移行しつつあります。
競争力を規定するのは設備・資本等の「有形資産」から、ビジネスモデル・知財・ノウハウ等の「知的資産」に移行し、イノベーションそのものが狭い意味での技術革新から、製品・サービス・組織・ビジネスモデル・デザインの革新を組み合わせるものへと変化しつつあります。
IT化に伴い、オープンな知識創造プロセスも可能となってきました。
産業構造がオープン化し、ネットワーク型に移行するにつれて、知識創造のメカニズムもオープン化しつつあります。

コーポラティブハウスは現在迎えているこれら産業構造変化に対する親和性が高く、私共は「しあわせ」や「ゆたかさ」を実感できる住まい実現に向けたイノベーションを生み出す可能性を実感しています。

2012年5月30日水曜日

管理について2

管理関連費として、管理費とは別に、修繕積立金があります。
修繕積立金とは、将来必要となるマンションのメンテナンスに備えて、予めその費用を積み立てておくものです。
一般的にマンション引渡時に修繕積立基金として、そして引渡後は毎月修繕積立金として徴収し、合算して管理組合名義の口座に積み立てていきます。

マンションを快適で安全な住まいとして維持し、大切な資産としての価値を保つためには、共用部分について計画的な修繕を確実に実施していくことが必要です。
共用部分の修繕は、区分所有者が共同して費用を負担するものであり、日常生活にも大きな影響を及ぼしますから、区分所有者などが協力して行う必要があります。

しかし、一般の管理組合では、大規模修繕を実施するための専門的な事項に関しての知識やノウハウが不足していることから、管理会社や施工会社任せになってしまうようなケースも多く見受けられます。

以上のことから、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が、大規模修繕に取り組もうとしているマンションの管理組合向けに、大規模修繕を行う際の手順や区分所有者のスムーズな合意形成を得るための留意点、管理組合が最低限情報を把握し、主体的に判断すべき事項など、大規模修繕を成功させるためのポイントをまとめた「大規模修繕マニュアルPLUS~マンション再生のためのサポートガイド~」を作成し、販売しています。
(過去に住宅金融公庫が販売していた冊子のデータであれば、http://www.jhf.go.jp/customer/kanri/daikibo_shuzen.htmlからダウンロードできます。)

この冊子はよくまとめられているので、分譲マンションに住まれる方全員に機会があればご覧いただくことをお勧めいたします。
目を通して最初に気づくことは、管理組合が自立して、いかに主体的に判断、行動することができるかが非常に重要であるということです。
管理組合が自立して、主体的に判断、行動できなければ、大規模修繕を成功させることはできません。
成功したように見えても、実態としてはそうでない事が良くわかります。

管理組合が自立して、主体的に判断、行動するためには、管理組合が機能していることが必要です。
管理組合が機能するためには、最低限のコミュニティーが機能していることが必要です。
しかし、一般の分譲マンションにおいて、最低限のコミュニティーを機能させることが難しいことは、今までご説明してきたとおりです。
本来管理業務の受託者であるはずの管理会社に、発注者である管理組合がコントロールされている分譲マンションも少なくありません。
そんな状況では、大規模修繕を成功させることは不可能です。
成功したように見えても、実態としてはそうではありません。
コーポラティブハウスにおけるコミュニティー形成は、大規模修繕の面からみても、マンションを健全な状態で維持・管理・運営する為には非常に有効なのです。

コーポラティブハウスは規模がコンパクトなので、修繕費用が高額にかかるのではないかと、よく質問されます。
しかし、大規模修繕工事を行った際の戸当たり負担額の実績を見ると、大規模なマンションとあまり変わらない結果が出ています。
これは、一般の分譲マンションにおける大規模修繕の多くが、成功したように見えても、実態としてはそうでない事の現れではないかと感じています。

1990年代に、中古マンションの融資条件を決定する上で修繕積立金の積立状況を評価するように住宅金融公庫が指針を出しました。
それまでは、分譲時の購入者負担額を少なく見せかける為に、修繕積立金を極端に低く抑えているものが大半でした。
ディベロッパー(売主)の瑕疵担保責任期間である2年を過ぎた頃を見計らって、管理会社が将来のメンテナンスの為に、修繕維持積立金の増額を提案することが広く行われていました。
いわば、ディベロッパーと管理会社の連携プレイです。
管理会社の雇い主は管理組合であり、本来管理組合の利益の為に動かなければならないのですが、新規事業を回してくれるディベロッパーの利益の為に働く、背信行為が当然のように行われていました。
しかし、限度額近くまでローンを組んでいる購入者にとって、月々支払わなければならない修繕維持積立金の増額は難しく、合意形成を得ることができないマンションも少なくありませんでした。
その結果、必要なメンテナンスを行うことができず、健全性を維持できないマンションが大量発生し社会問題化しました。
こんな状況を受けて、住宅金融公庫が指針を出したのですが、多くのディベロッパーが、分譲マンションの修繕積立金の設定を、住宅金融公庫の指針に沿った額に変更しました。
(現在でも初期設定の修繕積立金は低額のままの社会性の低いディベロッパーも存在します)
住宅金融公庫の指針により、新規に供給される分譲マンションの修繕維持積立金の積立状況は劇的に改善されました。

ところが、修繕積立金は現金で積み立てられ、その資金管理は管理組合に委ねられている状況です。
そして、多くの管理組合が、自立して、主体的に判断、行動できない機能不全に陥っています。
規模の大きなマンションでは修繕積立金の額は、なんと億単位になります。
億単位の現金を、機能不全の管理組合が管理している状況は恐ろしくありませんか?
分譲マンションの規模が大きければ大きいほど、修繕維持積立金の額は大きくなり、区分所有者の数が多くなるので、管理組合が自立して、主体的に判断、行動することが難しくなります。
これは、分譲マンションが宿命的に持っている問題の一つです。

キューブでは、そのような懸念をいだいていたので、大規模修繕の実態を掴むため、要請があれば大規模修繕の設計・コンサルティングも行ってきました。
実際に大規模修繕の設計・コンサルティングを行ってみて、やはり一般的に知られているよりも、かなりコストを絞り込むことが可能であると実感しました。
非常に事態は深刻であるように感じています。

大規模修繕の発注者は素人なので、プロがコントロールするのは簡単です。
見掛上見積合わせをしても、本当に競争が起きる環境を作らなければ裏で談合が行われます。
談合に、プロが加担する可能性も排除しなければなりません。
非営利法人と言えども、構成員が営利目的の営業窓口として利用している可能性があります。
マンションの大規模修繕は日本中の分譲マンションが対象であり、市場規模が非常に大きいので、様々な罠が巧妙に仕掛けられているように感じています。
住宅金融公庫の指針により、新規に供給される分譲マンションの修繕維持積立金の積立状況が劇的に改善されましたが、この市場は健全な形で成長していないように感じています。
今後、この市場が成熟していくためには、何らかの形で健全化される必要があると考えています。

キューブでは、大規模修繕の設計・コンサルティングを通じて得られた経験を生かし、新規プロジェクトにおいて設計する際も、出来る限り共用部の修繕維持にコストのかからない設計を行うよう心がけております。

2012年5月29日火曜日

管理について1

キューブのコーディネイトするコーポラティブハウスでは、管理業務を管理会社に委託するようにしています。
そして、その管理会社は、過去に評判の良かった管理会社や、建設組合員の推薦を受けて数社のプレゼンテーションを受け、管理会社の信頼性や費用を相対的に比較し、建設組合が自主的に選定するようにしています。

何故、このような方法をとっているのでしょうか?

分譲マンションでは、あらかじめ管理会社は決められているのが一般的です。
管理会社はディベロッパーの系列会社であることも多いのが実状です。

そうなると、何が起こるのでしょうか?

本来、管理組合は、管理会社を選ぶことができるのですが、一般的に分譲マンションでは販売時点で管理会社は決まっているため、実質的に購入者に選択の余地はありません。
管理業務委託契約は原則として単年度契約で、更新の都度、管理会社は管理組合に対し重要事項説明を行い、契約内容について承認を得なくてはならないことになっています。
しかし、管理会社を変更する為には区分所有者のある一定以上の割合の合意が必要となるので、管理会社に余程の問題があったとしても、管理会社を変更することは大変です。
ましてや、入居して1年後ですら隣人の顔もわからないほど人間関係が希薄であることも珍しくない分譲マンションですから、管理会社の変更について合意形成を図ることは非常に難しい事です。
個々においては多少の不満があったとしても、管理会社変更に必要な合意形成を自ら率先して行う事の大変さを考えれば我慢してしまう事になりがちです。
従って、一度入ってしまうと契約を切られることは稀有ですので、管理会社は非常に安定した収益源を確保することになります。

ディベロッパー系列の管理会社の場合、ディベロッパーが新規物件を事業化する度に仕事が増え続け、契約解除になるリスクが低いので、状況に甘えてしまい管理組合との関係性に緊張感を保つことは困難です。
一方、複数の管理会社の中から管理組合に選定された仕事であれば、働きが悪ければいつでも管理会社が変えられる環境にあることがお互いに確認でき、そのような環境であることが、管理組合と管理会社の関係性に緊張感を与えます。
緊張感のある関係性は、フィーの大小ではなく、どのように関係性を築いているかに依存します。
緊張感があれば、対応が変わります。
高いフィーを払っても、緊張感がなければ対応は悪くなります。
緊張感を維持することができれば、安いフィーでも適切な管理は可能です。
コーポラティブハウスのように、コンパクトなマンションの場合、管理費がとても高くなるのではないかと質問を良く受けます。
ところが、このような理由もあり、実際のコーポラティブハウスにおける管理費の実績は、大規模なマンションの管理費とほとんど変わらないか、むしろ安いぐらいになっています。
これは、私達がコーポラティブハウスの事業に取り組みようになって、最も驚いた事の一つでもあります。

管理組合と管理会社の間に緊張感がないと、結果として管理会社に主導権を持たれてしまいかねません。
本来、管理会社は管理業務の受託者であるにもかかわらずです。
管理組合と管理会社の間に緊張感を保つためには、管理組合が管理会社から自立し、機能してなければなりません。
管理組合が自立して機能する為には、管理組合の構成員である各区分所有者間に、最低限のコミュニケーションを可能とする状況が必要です。
そういう意味で、マンションを健全な状態で維持管理運営する為には、住民間のコミニュケーションが必要不可欠であり、マンションであれば他人と関わり合いを持たずに暮らすことができるというのは幻想にすぎないのです。

かつて、コーポラティブハウスでは自主管理することが多かったようです。
自主管理とは、管理業務を管理会社に委託するのではなく、管理組合が自ら管理する方法です。
自主管理にすれば管理費を節約することができるのですが、管理組合の負担が大きくなります。
特に、機械式駐車場やエレベーター等、法定点検の必要な設備に関して、素人集団の管理組合が適切に管理することは大変です。
また自主管理の場合、清掃業務に関しても自分たちで行うことになります。
就労形態が多様化している現在、入居者が平等な条件で清掃業務を負担しあうことは困難です。
さらに、何か問題が生じた際に、すべて直接討議によって解決しなければなりません。
「コーポラティブハウスはなぜ普及しないのか?」において説明したように、当事者間の直接的な討議による合意形成は困難です。
そこで、キューブのコーポラティブハウスでは、管理会社に管理業務を委託することにより、コーポラティブハウス事業におけるコーディネーターと同様、管理会社が第三者の客観的な専門家として合意形成に介在し、管理組合が円満に意思決定できるようサポートする事を期待しています。



2012年5月28日月曜日

コーポラティブハウスの実例2

次は、お風呂をご紹介します。

左はジャグジーバスにシャワーブースを採用されたお風呂。
右側は設計図面の説明でもご紹介させていただいた、洗面と浴室が一体化したお風呂です。
実は、キューブのコーポラティブハウスでは、お風呂は原則ユニットバスとすることを条件化しています。
マンションの性格上、水漏れに対するリスクはできる限り避ける必要があります。
在来工法で用いられる浴室の防水に関しては、年月が経っても100%信頼できる工法はまだ確立しておらず、適切なメンテナンスを行う必要がある為、原則禁止としています。
しかし、ユニットバスでも、工夫によって下記のようにオリジナルで開放感に富んだお風呂が可能です。


お風呂と洗面の間をガラスで仕切り、一体化したような演出はいくつものお風呂でされています。
同じような処理であっても、デザインやプランが異なるので、それぞれ全く異なる雰囲気になっています。


他にも、コーポラティブハウスならではの工夫がされた様々な住まいが実現しています。

左は炉を切って、本格的に茶を楽しむことができる和室です。
右上は寝室に畳コーナーを設けて、畳の上で就寝するように工夫した居室。
右下は高い天井高を生かして和室にロフトを設けたモダンな和室。


映画館のようなシアタールームを実現された住まいもあります。
あらかじめ配線等を組み込み、サラウンドシステムやスクリーンを建物に設置しました。


ものすごく蔵書の数が多い方は、壁一面の本棚を作られました。
まるで、図書館の中で暮らすような雰囲気です。


アレルギーがあるとの事で、できる限り新建材を使わず天然素材による内装を希望される方は少なくありません。
これらは天然無垢材を活用し、珪藻土等を用いた住まいです。


プランにあわせて窓の形状・位置・大きさを設定できることも魅力です。
左は壁面一面をガラスブロックにして、とても明るく爽やかなダイニングルームを実現しました。
右は、あらかじめ大画面テレビを置くことを想定し、それに合わせて窓を設けています。


このように、住まいの数だけ様々に工夫された住まいが、次々とコーポラティブハウスで実現しています。



今まで、夢でしかなかったオリジナルな住まいを、あなたもコーポラティブハウスで実現しませんか?

2012年5月26日土曜日

パッケージハウスの実例1

絶景の家


神戸の山手、神仙寺通りの絶景の地で計画したパッケージハウス。
上の写真はリビングから南を見渡した、神戸の街の絶景です。
雛壇状の土地条件を生かして、中2階に玄関を設け、2階に高い天井高のリビングを配置、リビングから海を臨む絶景を楽しむことのできる住まいを実現しました。





予め、配置する家具等のイメージに合うようにプランニングし、インテリア全てが好みにあったテイストで統一するように努めました。


ステンレスのフレームキッチンとガラスモザイクタイルで構成された、清潔感あふれる、さわやかなキッチン。


鏡面仕上げの食器棚にも、デザイン統一されたリビングの佇まいが映り込む・・・。


真白な壁面と黒い天井からなる、モダンテイストに統一された廊下。


主寝室も、ホテルライクな演出を・・・。 

それぞれの部位ごとに、様々なガラスモザイクタイルで演出した、オリジナルな水回り。 
洒落たお店のようなシックで落着いた雰囲気のトイレ。


2つ目のトイレは、全く異なるテイストで・・・。


洗面室もガラスモザイクタイルをベースに、統一感を演出。


このように、一般の建売住宅では見られないような、オリジナルテイスト溢れる住まいが、パッケージハウスで実現しました。
全ての設計内容は、住まれる方の希望の反映であり、設計者からの押し売りではありません。
絶景の家は2区画の分譲で、もう1件も後日ご紹介させていただきますが、本住戸と全くプランニングも内装も異なっております。

パッケージハウスは、予め事業の総予算が見えており、設計者と直接打ち合わせしながら、予算に応じた調整ができるので安心です。

あなたも、パッケージハウスで、あなた独自のオリジナルな住まいを実現しませんか?

2012年5月25日金曜日

コーポラティブハウスの実例1

今までに、多くの方々がコーポラティブハウスで夢を実現してこられました。
そのいくつかをご紹介いたします。

まずはこだわりのキッチンを中心に・・・。

こちらは「アンビエンテ北野」のキッチンです。
同じマンションでありながら、住戸毎に全く異なるキッチンが入っています。
真っ白で清潔感あふれるキッチンを採用されたお宅がある一方・・・。
このように、コ字型で、フル装備のキッチンを採用されたお宅もありました。


こちらは、ダイニングと一体化したオープンなキッチン。
勾配天井を利用して、調味料等を置く棚を設けたキッチン。




こちらは「レスタジア南田辺」のキッチンです。
高い天井高を確保し、ダイニングテーブルと一体化したキッチン。
キッチンスタジアムをイメージした、迫力あるアイランドキッチン。
リビングと一体化したオープンなキッチン。
窓際に洗面を配置し、連続した明るいキッチン。
これらもすべて、同じマンションの中で実現されたバリエーションです。




こちらはシェヌーア御影のキッチン。
来客が多くホームパーティーをすることが多いとの事で採用されたアイランドキッチン。
古材調の独特の雰囲気を持ったオリジナルキッチン。
他にも、様々なキッチンが採用されました。




以上のように、住まいの数だけ、オリジナルなキッチンがあると言って過言ではありません。


2012年5月24日木曜日

コーポラティブハウスの自由設計

分譲マンションは、モデルルーム経費や広告経費がかかるため、ある程度規模がまとまらないと事業性が低いので、マンション事業者は出来るだけ大きな事業規模を求めます。
事業規模の大きいマンションで一般的な全体計画は下図のようになります。




切り分けた羊羹に似ていることからヨーカン型と呼ばれています。
ヨーカン型マンションの住戸プランニングには共通する特徴があります。
下図は典型的なヨーカン型マンションの住戸プランです。
ヨーカン型マンションの住戸を1住戸切り出して見ると、まず気が付くことですが、壁の半分以上を両隣の家との間の界壁が占めている事です。
したがって、窓はバルコニー面か共用廊下面にしか取ることができません。
一般的に80㎡程度の住戸であれば間口が6.3m程度のものが多く、この場合奥行は12.6m程度あります。
周囲の壁の長さは6.3×2+12.6×2=37.8mあるわけですが、窓を設けることができる壁の長さは6.3×2=12.6mしかなく、その他の37.8-12.6=25.2mは隣説住戸との間の界壁で、窓を設けることはできません。
窓を設ける事のできる12.6mの内、6.3mは共用廊下に面しているため、窓を取っても独立性は確保されず、独立性の確保された窓はバルコニー側の6.3mの壁に設けられたもののみとなります。
このような、前提条件の中で、ヨーカン型マンションの住戸はプランニングされています。
各居室には窓が必要なので、窓を取ることができる限られた壁面に設ける事になります。
その結果、バルコニー面の窓をリビングに配置すると、どうしても個室は共用廊下に向けて取らざるを得なくなります。
これでは、窓のある独立性した個室が全く取れません。
お風呂や洗面など、水回りに窓を設ける為には、かなりプラン上無理をしなければなりません。
窓の取り方に限界があるので、たとえば中古で購入してリノベーションをしようとしても、プラン変更の可能性はほとんど無いことが確認できると思います。






一方、コーポラティブハウスは規模が小さく、1フロアあたりの住戸数が2~3戸程度のものがほとんどなので、隣接住戸との界壁が少なく、開放性の高い計画が可能です。
下図は実際にキューブで事業化したコーポラティブハウスの標準プラン図です。
一般の分譲マンションでも角住戸にはこのようなものも存在しますが、基本的に建物規模が大きいため角住戸は特殊住戸で、大半は上記のような両方を壁で囲まれた住戸となります。
外形は典型的なヨーカン型マンションとほとんど同じ形をしておりますが、左側の壁面だけしか隣接住戸と接しておらず、3方が開放されているのでプランの可能性は全く異なります。
まず、全ての個室に窓があり、独立しています。
お風呂等の水回りにも窓を設ける事が可能です。
住戸外周の大半が外部に面しており、プランに応じて窓の位置、大きさ、形状が自由に変更できるので、プラン変更の可能性が非常に大きいことがご確認いただけることと思います。


このように、住み方に応じた住まいづくりをしようと考えた場合、制約条件が少なく自由度の高いコーポラティブハウスの可能性の高さを実感していただけることと思います。

2012年5月23日水曜日

キューブのコーポラティブハウスとは2

コーポラティブハウスに取り組むに当たり、キューブで独自に工夫している点がもう一つあります。

コーポラティブハウスは自由設計です。
しかし、設計図面から一般の方々が実際に出来上がる空間のイメージを正確につかむことは困難です。
実際に設計図をご覧になられた方はいらっしゃいますか?
分譲マンションや戸建て住宅のチラシで掲載されている間取り図は、設計におけるほんの一部の情報でしかありません。

キューブで事業化したコーポラティブハウスの設計図面の例を示します。

下図は平面詳細図と天井伏図です。
平面詳細図は、一般的に分譲マンションや戸建て住宅のチラシで掲載されている間取り図と同様の情報がベースになりますが、より詳細の寸法や情報が記載されています。
天井伏図は天井の形状を記載しています。
この住戸では、リビングの天井を折り上げ天井にして、その部分に間接照明を組み込む計画になっています。


下図は、仕上げ表と展開図です。仕上げ表には床、壁、天井等の仕上げ等、実際に用いる部材が部位ごとに明記されています。
展開図は、各部屋の中から壁を見た時の壁の形状を表現しています。
この住戸では、廊下に収納を設け、その扉を床から天井までの鏡にして、映り込みにより廊下が広く、また明るく見えるように工夫しています。


下図は展開図と家具詳細図です。
展開図は各部屋毎に4周作成するので、かなり多くなります。
コーポラティブハウスでは、家具も利用内容に応じて作成することも多く、家具ごとに設計し図面化することになります。


下図は建具表です。扉や窓、襖や障子などの建具は、このようにまとめてリスト化されます。
ここで、各建具の形状や枠、収まり、寸法が明記されています。


これらの他にも設備図や構造図、そして住戸以外の共用部の図面があります。
基本的に設計図は白黒であり、図面ごとに情報が整理して記載されているので、図面を見ているだけでは、一般の方々にはどのような空間が出来上がるのか、正確にイメージすることは困難です。

そこで、キューブでは、設計内容がまとまった時点で、CGによるシミュレーションを作成し、実際に出来上がる空間がイメージと合致しているか、確認していただけるようにしております。
上が先ほどの住戸を元に作成したCG、下が実際に出来上がった時に撮った竣工写真です。

一番左が廊下部分のもので、先ほど図面で説明したとおり、廊下に収納を設け、その扉を床から天井までの鏡にして、映り込みにより廊下が広く、また明るく見えるように工夫していることが、具体的に確認していただくことができると思います。

真ん中がリビングのもので、これも先ほど図面で説明したとおり、天井を折り上げ天井にして、その部分に間接照明を組み込む計画が、どんな雰囲気を演出するか、具体的に確認していただくことができると思います。

一番右は浴室と洗面室の間をガラス貼にして、広々と感じるように工夫したものです。
これも、言葉や図面だけでは具体的なイメージはつかみにくいと思いますが、画像を見ていただくことで具体的に確認していただくことができると思います。

このようにCGで確認していただくことで、イメージと異なっておれば修正していただくことができます。実際に出来上がってからイメージと違うと言っても、それから手を入れることは費用もかかりますし、一旦出来上がったものに手を加えるのは基本的な施工手順を変える形になるのでクオリティーの低下に繋がりかねません。CGで確認していただくことで、工事を行う前に、必要であれば修正を加えることができるようにしております。



2012年5月22日火曜日

キューブのコーポラティブハウスとは1

キューブは阪神淡路大震災の復興事業を通じて、当事者が議論を通じて仲良くなるというのは幻想であると気づかされました。
確かに、仲良くなる場合もあるでしょう。
しかし、日本人はディベートにも慣れておらず、議論することにより、様々な遺恨を残します。
その結果、仲良くなる以上に仲が悪くなるリスクが高い事が、震災復興事業で明らかになりました。
数多くのマンション建て替え事業等で、方向性が対立し、一方が他方を排除する形でしか決着できなかった事例が山のように生まれました。

何が良くなかったのでしょうか?
私達は、当事者間による直接的討議という方法そのものにあったのではないかと考えています。

キューブは、直接関わった被災マンションの復興事業で、その事に気づきました。
ある被災マンションは震災前は非常に良好なコミュニティーが形成されていましたが、震災により住民の意見が建替えと補修に2分化し、当事者が直接話し合いにより事態の打開を図ろうとしましたが、会話することもできないほど深刻な溝が生まれてしまいました。
そのような状況で事業に関与することになったキューブは、合意形成の図り方を工夫し、当初反対者を排除することなく、全員参加によりマンション建替え事業を完了することができました。
阪神淡路大震災で被災し震災復興を遂げたマンションは数多くありますが、反対者を排除することなく復興を遂げたマンションは本当にわずかです。


様々な状況下の人々が、地震によって突然当事者にさせられてしまう被災マンションの復興における合意形成の難しさを考えれば、これから新しく家を取得しようとされる方々の合意形成は、決して難しい事ではないと考えています。


キューブで進めるコーポラティブハウスは、コーディネーターがあらかじめ大枠のルールを決め、それに沿って事業を進める形をとっています。
大枠のルールとは合意形成を図るための流れです。
募集時点で合意形成に向けた方法を理解・共有できる方々が参加することにより、円滑で安定した事業運営が可能であると考えています。
コーポラティブハウスに関しては、基本的に参加者の皆さんは初めて事業に参加される方がほとんどで、事業に関わる者の中でコーディネーターが最もコーポラティブハウスに関する経験を持っています。
そこで、キューブは、今までのコーポラティブハウス事業の結果を踏まえて、事業が円滑で安定した形で進めていくために必要な内容を提示し、その内容に基づいて参加者の意見を反映して進めていく形をとっています。
その結果、参加者全員で集まっていただく全体集会は、事業全体を通じて7回程度しか開催しておりません。
このようにすることで、予定したスケジュール、予定したコストで事業を進めることができるようになりました。

また、キューブのコーポラティブハウスでは、原則として参加者間の直接的な討議の場は持たないようにしています。
討議の場を持ってしまうと、今までのコーポラティブハウスと同様、声の大きい自分勝手な人の意見に、参加者全員が振り回されることになりかねません。

では、いかにして参加者の意見を事業に反映するのか?

キューブでは、基本的に参加者の意見等はすべてコーディネーターであるキューブにぶつけてもらうことにしております。
良かれと思ってご提案いただいた意見であっても、キューブの過去の経験上、他の参加者の不利益につながったり、将来的にトラブルにつながる可能性があれば、その旨をご説明しご納得いただくまでやりとりを繰り返します。
そして、結論に至った段階で、全参加者が共有すべき情報であれば、書面化して情報を共有することができるように全参加者に向けて発信します。
その発信内容を見ることで、ご意見を出された方は、コーディネーターとの間で確認した内容が正確に広報されているかチェックすることができます。
また、その広報内容についてご意見のある方がおられれば、その方とコーディネーターが対話を行い、同様のステップを繰り返します。

このようにすることで、参加者全員が冷静な状況で意見を出し、良いものは事業に反映させ、そうでないものはいかなる問題があるから良くないのか、情報を共有することができるようになります。

基本的に、参加者の方々にお願いしているのは、広報された書類は、とりあえず一通り目を通していただくことです。そのことにより、気になる点が出てきた際に、検討する基盤となる知識が自然に身についており、そこから先の議論ができるようになるからです。

このように、一般の方々でも気軽に参加していただける環境を整えたいと考えております。

基本的にコーポラティブハウスに参加される方々の動機は、自分のライフスタイルにあった住まいを、自分の住みたい場所で、納得の価格で取得することです。
コミュニティー形成は望ましいですが、濃すぎるコミュニティーは排除の論理が強くなるので必ずしも良いものとは限りません。
キューブのコーポラティブハウスは、適度な距離感を保ちながら、他者と共存できる環境形成を目指しています。
その為には、直接的に面と向かって議論を重ねることよりも、合理的に論点を整理して、徹底して情報の共有化を図ることが有効であると考えております。
この考え方を、一番最初に明らかにし、その考え方を共有できる方々に参加していただいて事業を進めることによって、従来コーポラティブハウスで難しいとされてきた問題点の解消を図っています。

このことにより、コーポラティブハウスのメリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えることができると考えております。

2012年5月21日月曜日

コーポラティブハウスはなぜ普及しないのか?

このように、メリットの多いコーポラティブハウスですが、1970年代から日本でも建ち始めたものの、まだ一部の方にしか知られておらず、一般にはほとんど普及していません。
それには、当然メリットに付随するデメリットが影響しています。
コーポラティブハウスが語られるとき、そのデメリットとして
①すぐには入居できない
②打ち合わせが必要
③価格変動の可能性
が上げられます。
しかし、初期の設計段階から事業に関与して、設計内容に希望を反映させるわけですから①の理由は本質的理由ではありません。②も設計に関しては同様です。
③に関しては、事業スタート時点から、コーディネーターがきっちりと収支コントロールを行えばクリアできる問題です。

では、本当に普及しない理由は何か?
最大の理由は、事業者主体の商品であっても売れるので、多様なニーズに応えるような面倒な事をしないほうが、マンションディベロッパー等事業者にとって高い収益性が得られたからです。

しかし、既に日本の住宅ストックは世帯数を上回り、単に量としての住宅は既に充足しています。

将来に向けて多様なニーズに応える為に、コーポラティブハウスに取り組もうとした事業者は、今までにもありました。
しかし、コーポラティブハウスに事業として取り組むことは非常に難しく、簡単に取り組むことができないと言われてきました。
何が難しいかと言うと、コーポラティブハウスは参加者間の議論を通じた合意形成を前提とした進捗を基本としており、この合意形成を得る事が難しいとされてきたのです。


コーポラティブハウスは、建設組合集会で議論を重ねることを通じて、各住民どうしが仲よくなると紹介されることがあります。
本当に、集会で議論を重ねると他人と仲よくなるのでしょうか?

今までのコーポラティブハウスでは、度重なる討議が必要とされてきました。
一般的に数十回も討議が繰り返されてきたと聞きます。
こうなると、時間が自由になる人でないと参加できなくなります。
また、討議の場で、1から10まで議論して物事を決めていかなければならないとなると、非常に参加者の負担が大きくなります。
討議に参加するためには、個々で勉強もしなければなりません。
また、直接面と向き合って討議を行うと、声の大きい自分勝手な人の意見に振り回されます。
そして、良いアイデアを持っていても、人前で発言することを躊躇する方の案は反映されません。
意見対立が生じた場合、合理的に解決されずに、根気強い人の意見が通るようになります。
意見が通った人は自分の意見が正しかったと感じるため、次に意見対立が生じた場合には、より強く自分の意見を通そうとします。
こうなると、お互いに一切妥協することができなくなっていきます。
主観の対立はエスカレートするばかりで、なかなかまとまりません。
そして、結局、仲が良くなるどころか、修復不可能な程、人間関係に溝をつくってしまう事も起こり得ます。
こうなってしまっては、夢の住まいが、台無しです。
合意形成に時間がかかると、結果としてスケジュールやコストも大きく変動します。

このように、合意形成の困難さというデメリットが、コーポラティブハウスの持つメリットを相殺してしまい、コーポラティブハウスの良さが生かされてきませんでした。

しかし、これは、コーポラティブハウスの持っている本質的問題ではなく、やり方の問題である事に私達は気づきました。


2012年5月19日土曜日

パッケージハウスとは


ライフスタイルや趣味嗜好の多様化が進み、固定化された最大公約数的な間取りの不自由さを感じる方も増えてきました。
しかし、戸建て住宅を取得しようとしても、普通はありきたりな建売住宅を購入するしか選択肢がありません。
土地を購入して建物を建てようと考えても、実際の所、どれ位の規模の建物が建設できて、建築費にいくらかかり、総事業費がどれ位になるか、専門家でなければなかなか分かりません。

キューブは、コーポラティブハウスを通じて、様々なライフスタイル、趣味嗜好をお持ちの方々の住まいに対する夢を実現してきました。
その経験から、さまざまなライフスタイルや趣味嗜好に柔軟に対応できる住まいへのニーズを実感しています。

「もっと住み手の視点で考えた戸建住宅があってもいいのではないだろうか。」

そんな想いから、キューブはあらかじめ、基本プランや取得目安価格が分かるようにパッケージ化した戸建分譲事業「パッケージハウス」に取り組んでいます。

基本プランはそのままでも住んでいただけますが、ライフスタイルや趣味趣向にあったプランへと、設計変更して頂くことも可能です。
ご予算の心配もあると思いますが、設計者と見積もりを見ながら打ち合わせを行い、”削るところは削り、こだわる箇所はこだわる”といったカタチでコストコントロールもいたしますので、ご希望に沿った設計変更をして頂けます。

いわば、今までにキューブが取り組んできたコーポラティブハウスの戸建住宅版と言えます。

従来にないコンセプトをもった戸建住宅。
設計事務所発。

設計事務所だからこそ提案できる戸建住宅を提供しよう。
それがキューブのパッケージハウスです。




※建物代にはシステムキッチンやユニットバス等、住宅設備機器、内装仕上げ材を含んでいます。

2012年5月18日金曜日

コーポラティブハウスのメリット3

3つ目のメリットは、良好なコミュニティー形成が期待できることです。
一般の分譲マンションでは、入居して1年経っても、隣人の顔もわからないような状況は少なくありません。
また、他人と関わり合いになるのが面倒で、マンションを選ばれる方もおられます。
しかし、あまり多くの人は気付いておられませんが、分譲マンションは、その仕組みにおいて、他人と関わり合いにならずにはおられない宿命を持っています。


現在、最先端技術を活用しても完全メンテナンスフリーのマンションを建てることは不可能です。
現在の分譲マンションは、適切な時期に、適切なメンテナンスを行えば、長期にわたり良好な状況を維持することが可能ですが、メンテナンスを行わなければ建物は劣化します。

そして、メンテナンスに向けた判断を行うのは区分所有者が構成員である管理組合です。
管理組合として適切な判断を下すためには、管理組合として意思決定ができる環境が必要です。
しかし、当事者意識の低い人ばかりで構成される管理組合では、適切な意思決定は困難です。
結果的に、主体性を持たずに管理会社に良いように操られてしまっている管理組合も少なくありません。
管理組合として適切な判断を行うには、最低限のコミュニティーが形成されていることが非常に重要です。
その為に、コーポラティブハウスの手法は有効だと言われています。

コーポラティブハウスは、個々の方々が、個々のこだわりに従って創り上げるものなので、竣工後も大事にされることが多く、定住率が非常に高いのが特徴です。
その結果、自ずから共用部の管理に対しても住民意識が高く、年月を経ても多くのコーポラティブハウスが非常に良好な状態で維持管理運営されています。

2012年5月17日木曜日

コーポラティブハウスのメリット2

2つ目のメリットとして、納得の価格で取得できることが上げられます。
一般の分譲マンションの価格の内訳を、皆様ご存知ですか?

下図左側のグラフが一般の分譲マンションの価格内訳をあらわしたものです。
マンションの価格には、当然そのマンションの建つ土地の土地代が含まれています。
それから工事代金、地盤調査費用や測量費等のその他費用、設計費用、実はマンションを建てるだけであれば、これだけの費用で建てることができます。
これら費用を、原価と言います。


しかし、マンションの価格はこれ以外の費用が含まれています。

まず、販売経費。
分譲マンションでは、あたりまえのようにモデルルームが作られています。
モデルルームを作るには、数千万円の費用がかかります。
この費用はマンションディベロッパーが負担しているのではなく、当然の事ながら事業収支で事業費の中に見込まれており、販売価格に転嫁されているものです。
最近のモデルルームはオプションだらけで、原型をとどめないようなものも少なくありません。
また、高額の家具を配置して、豪華な雰囲気を演出してますが、それらの費用もすべて販売価格に転嫁されています。
さらに、モデルルームは販売が終了すると取り壊して破棄されます。
どれほど立派なモデルルームであったとしても、実際に建つ建物とは全く関係がなく、別途費用計上されているものであり、モデルルームの解体・破棄費用までもが販売価格に含まれています。
また、広告宣伝費も販売経費です。
新聞に分譲マンションの折込チラシが大量に入っていますが、このチラシも入れるたびに高額のコストがかかっています。折込チラシは数万部単位で配布され、それぞれにチラシの製作費、印刷費、折込費がかかっています。
最近ではテレビコマーシャルをしているマンションもありますが、テレビコマーシャルはさらにコストがかかります。
数千万円単位に及ぶ、これらのコストもすべて販売価格に転嫁され、結果として購入者が負担しているのです。

そして、事業利益。
マンションディベロッパーはマンション事業を行う場合、金融機関からの借入資金で事業を行います。
大手中小関わらず、全てのマンションディベロッパーは基本的に借入資金で事業を行っています。
一般的に、金融機関が事業与信を与え、資金提供する最低ラインが10%の利益確保です。
したがって、10%の利益が確保できない事業は融資が受けられず、事業として成立しません。

昨今、長期化する不況とデフレによりマンション価格は下落傾向にあります。
相対的競争力を維持するために、販売価格を抑えようとする圧力がかかります。
こんな時でも、利益10%確保は前提条件であり圧縮することはできません。
不況で販売が難しいとき、販売経費は圧縮するどころか、むしろ膨張要素になります。

そうすると何が起こるか。

本来建物を建てるのに必要な原価を圧縮せざるを得なくなります。
その結果、工事代金にシワ寄せが行き、施工会社間で熾烈な価格競争が行われます。
しかし、国際的な資源高の中、そのシワ寄せは最終的に職人の人件費に転嫁されます。
こんな歪んだ状況では、マンションの住み手にとって最も重要な、工事のクオリティーを高く保つことは困難です。

コーポラティブハウスは、原価の積み上げで構築する事業です。
土地は土地売主から事業参加者が直接取得するので、事業を行う為に金融機関が求める10%の利益を確保する必要がありません。
また、1件1件入居者と担当建築士が打ち合わせをして個別設計するので、モデルルームのようなものもありません。
このように、実際に建物を建てるのに不要な、原価以外の要素を極力排除すれば、結果的に安くなって価格競争力が生まれます。

これはコーポラティブハウスという仕組みから合理的に生まれる競争力であり、工事業者や職人など、一部にシワ寄せを行うことで生まれる歪んだ競争力とは全く異なります。

コーポラティブハウス事業では、この競争力を自覚し、最大限生かす事ができるように工夫することが重要です。

2012年5月16日水曜日

コーポラティブハウスのメリット1

このようにしくみを変えると、何が変わるのでしょうか?

まず、設計を直接設計者に発注するわけですから、入居者の住み方に合わせた自由設計が可能となります。
今までの分譲住宅では、「住まいに住み方をあわせる」のがあたりまえでしたが、コーポラティブハウスでは「住み方に合わせた住まいづくり」が可能となります。
このことにより、多様化するニーズに応える住まいを実現することが可能となります。

下記の写真は、同じコーポラティブハウスの中の異なる部屋です。
いずれも中庭と階段のある住まいですが、個々の希望に応じて設計しているので、間取りやデザイン、仕上げは全く異なります。
コーポラティブハウスでは、このような、お店の厨房のようなキッチンも可能です。


下記は別のコーポラティブハウスの中の、異なる部屋です。
お店の個室のような和室コーナーをリビングの一部に設けたり、天然無垢材の床フローリングや珪藻土の壁を採用された住まいもあります。
来客が多くホームパーティーをよくされる住まいではアイランドキッチンを採用し、アイランドキッチンを取り囲んで会話が盛り上がるそうです。














2012年5月15日火曜日

コーポラティブハウスとは

国土交通省によると、
「コーポラティブハウスとは、一般の分譲マンションのように、完成した住宅を購入するのではなく、住宅の購入を考えている方々が集まり、共同で土地を取得し、各自の要望を取り入れながら設計し、自らが工事の発注を行って住宅を取得するという方法」
と、定義されています。

言葉だけを追いかけても、なかなか具体的なイメージがつかみにくいので、下の図をごらんください。


左の図が、一般的な分譲マンションのしくみです。
基本的にまずマンションディベロッパーと言われる事業者(分譲マンション事業を行っている、三井不動産とか、野村不動産など)が、地主から土地を購入し、設計事務所に設計を発注し、工務店に工事を発注して、完成したものを販売するというのが一般的な分譲マンションです。

コーポラティブハウスは、ここが異なります。
右側の図がコーポラティブハウスのしくみです。
まず、初めに、マンションを取得したいと思う方々が集まり、組合を作ります。
この組合が自ら事業主となり、マンションディベロッパーに変わって主体的に地主から土地を購入し、設計事務所に設計を発注し、工務店に工事を発注してマンション建設を行うのがコーポラティブハウスです。
ただ、マンション建設には各種契約や、事業資金の回転、融資など、様々な専門知識が必要で、一般の方々の集まりである建設組合で円滑に事業遂行することは困難です。
そこで、コーディネーターと言われる専門家が建設組合から委託を受け、建設組合と協力して事業を進めるようにしています。




2012年5月14日月曜日

高まる住宅への関心と、関心の対象の変化


近年、一般の方々を購読対象とした住宅関連雑誌が多数刊行され、好調だと伝えられています。
カーサブルータス、ライブス、アイムホーム、住む。・・・・・
書店でご覧になられたことのある雑誌も少なくないと思います。


テレビでも、様々な住まいに関する番組が放送され、多くの方々の関心を集めています。
これらの事から、近年、ますます住宅への関心が高まっていると考えられます。
これらの雑誌やテレビを見ればわかることですが、関心の対象は、単なる不動産情報ではなく、住まいの内容に関するものです。
以上の事から、関心の対象が、住宅の量から質へと移行しつつあることがうかがえます。

住宅は人生の舞台です。
住宅によって、ライフスタイルが変わります。
夢のライフスタイルを実現するためには、
・いつ
・どこで
・どんな
住まいに住むかがポイントです。

今まで、住むための箱でしかなかった住宅から、人生の舞台として、その内容に注目されだしたと言えるのではないでしょうか。


住宅への関心の対象が量から質へ移行する一方、ライフスタイルは多様化しており、質に対するニーズも多様化しています。
これだけニーズが多様化しているにも関わらず住宅供給方法は相変わらず。
雑誌やテレビで紹介されている住まいは夢物語であり、ほとんどの方々は建売住宅や分譲マンションを購入するしかないとあきらめています。

なぜ、これだけニーズが多様化しているのに、それに対応する商品が供給されないのか。
それは、日本の住宅産業が、供給者側論理による供給を続けているからであり、事業が成立するうちは、高度経済成長時代以来成功体験のあるビジネスモデルを変更する気が無いからです。

供給者=事業者から見れば、できるだけ高い収益性を上げるためには、画一化による大量生産を行い、売却後の手離れが良い、すなわち売り逃げのできる事業を追及する必要があります。
その結果、現代のようにニーズが多様化しても、一向にそのニーズに応えるような商品が供給されないのです。

最初にお話ししたように、雑誌やテレビの状況を見れば、多様化したニーズに応えることができる新しい住宅供給方法が期待されているのは明らかです。

このようなニーズに応える方法として、コーポラティブハウスの可能性が注目されています。