2012年7月10日火曜日

リノベーションについて:2

賃貸市場動向を考える上で、現在劇的に変化しつつある平均世帯人数の変化に着目する必要があります。1980年代初頭には3.20人程度だった平均世帯人数は急激に減り続け、現在2.50人程度であり、今後も減少し続けることが予想されています。



さらに、その内訳を見てみると、単独世帯が激増し、夫婦と子からなる世帯が激減する傾向にあることが確認できます。これを絶対数で比較すると、単独世帯は約400万世帯増加し、夫婦と子から成る世帯は約400万世帯減少するという事です。
この変化が、この統計によると25年の間に起こるという事ですから、1年あたり、16万世帯づつ、単独世帯が増加し、夫婦と子から成る世帯が減少するという事です。
これは全世帯数の1%以上にもあたる、ものすごい変化です。
他の類型別世帯数も変化はありますが、これほどの変化はありません。
現時点では、何らかの形で全世帯がどこかの住宅ストックに居住しているわけですから、この変化に伴って夫婦と子からなる世帯向けストックが余り、単独世帯向けストックが不足することが考えられます。
この急激な変化を踏まえることなく、将来における賃貸動向を考えることはできません。


一方で、住宅やインテリアに関する雑誌やテレビ番組は増え続け、関心は増すばかりです。
「衣」「食」足りて、「住」に関心が向かっているのでしょう。
しかし、雑誌やテレビでは取り上げられるものの、実際に供給される住まいは供給者主体のものが中心で、以前とあまり変わり映えがしません。そのフラストレーションが購読や視聴に向かわせているのかもしれません。



また、様々なインテリアショップが新規出店され、それぞれが流行っています。
現在、日本ではありとあらゆるインテリアに対応することができる程、多様なニーズに対応できるショップが展開されています。
思い通りの住まいを取得することは難しいので、手の届くインテリアにこだわっているのかもしれません。





さらに、ミッドセンチュリー等、古い建物や物の再評価が行われ出しています。
今までほとんど見過ごされてきた事も再評価され、趣味嗜好の多様化が急速に進んでいます。
そして、その多様化に応じるように、様々なショップ展開は広がり続けています。




ここ数年でテレビの大型化が急速に進みました。
ハイビジョンやインターネットとの連携も普及しつつあり、住まいにおけるテレビの位置づけも急激に変化していると言えます。

以上のような変化が急激に起こっているのが現在です。
しかし、これだけ家族構成やライフスタイル、趣味嗜好が変化しているにもかかわらず、ほとんど変わっていないのが、器である住まいです。

今まで、分譲に限らず賃貸においても、我が国の住宅供給は供給者主導で行われてきました。
その結果、住まいに住み方をあわせるしかありませんでした。
例えば、賃貸マンションを計画する際にも、できる限り1住戸単位を小さくした方が、坪賃料が高く取れ、収益性が向上するという供給者側の理屈で、狭小のワンルームマンションが至る所で供給されました。
しかし、そのようにして作られた狭小のワンルームマンションは過剰供給となり、賃借人がつかなくなってきています。
数の上ではストックが充足し、選択できるようになったことで、利用者自身が住み方にあった住まいを求めるようになったのです。その結果、利用者主体で計画された事業でなければ、相手にされなくなりはじめています。




今、求められているのは、多様な住み方に応える住まいです。
じかし、情報過多な一方、多様性に応えるマーケットは未成熟で、特に賃貸マーケットは未成熟です。
昨今、デザイナーズマンションがもてはやされていますが、デザインに特化した新奇性のみでは持続可能性を持ちません。
むしろ、様々な住み方に対応できる、柔軟な「箱」が期待されていると言えます。

2012年7月9日月曜日

リノベーションについて:1

賃貸住宅フェアにおいて、賃貸のリノベーションについてお話した内容をご紹介します。

リノベーションを考える際に、自宅のリノベーションと、賃貸のリノベーションとは全く異なることを認識することが重要です。自宅のリノベーションは自らの好みと予算に応じて行えば良いのですが、賃貸のリノベーションは事業です。しかし、事業であるという当然のスタンスを忘れて、自宅と同様に趣味・嗜好によってリノベーションに取り組まれている事例は少なくありません。
ここでは、事業として成功に導く鍵として、3つのポイントをご紹介したいと思います。



3つのポイントとは、
1.投資対効果の極限化
2.持続的な相対的競争力の維持
3.メンテナンスコストの削減
です。



投資対効果を考える上で、賃貸市場ニーズを的確に捉え、必要最小限の投資により市場ニーズに応えることができれば、これが最も投資対効果の高い事業手法であると考えられます。高額の資金投下をしても賃料に転嫁できなければ、それは無駄な投資です。極限まで徹底して投資対効果を求めることが、事業性を高めることに直結します。


ターゲット像が具体的でなければ市場ニーズに応えることはできません。また、将来的な市場動向をイメージすることもできません。将来的な市場動向を見据えて計画することができれば、持続的な相対的競争力を維持することにつながります。


賃貸マンション経営において、メンテナンスコストの占める割合は想像以上に大きいものです。賃貸市場ニーズを分析し、効果的なメンテナンスコストの配分を行うことが、最小限の投資で最大限の効果を生み出すことに繋がります。




以上、3つのポイントを的確に押さえる為には、賃貸市場動向の分析が不可欠です。
賃貸市場動向を踏まえて、1.投資対効果の極限化、2.持続的な相対的競争力の維持、3.メンテナンスコストの削減を意識的に追及することが、賃貸のリノベーションを成功させるための鍵になると考えられます。

2012年7月8日日曜日

構造審査について

姉歯事件以後、構造設計を取り巻く環境が激変しました。
それが良い方向に向かっているのであれば喜ばしい事ですが、決してそうであるとは感じられず、現状に対して非常に強い危機感を感じています。
 

姉歯事件の本質的な問題は何だったのでしょうか?
私は、姉歯建築士という一人の構造設計者のモラル欠如と、モラルを欠如した構造設計者は存在しないという性善説前提で構築された申請システムにおける偽装チェック機能の不備だったと考えています。


建設事業を行う場合、事業主から設計者に対して無駄なコストを削減する圧力が常にかかるのは当然です。
一般の方でも、ご自宅を建築される際に、できる限り無駄を削減しようとされるのは当然の行為だと思います。
圧力という言葉に語弊があるのであって、無駄を削減することは事業主のニーズであると言うべきです。
事件当時、行き過ぎたコスト削減に対する圧力が、事件を誘発したというような指摘が数多く見られましたが、これは極端な見方であり、本質を見誤りかねないので注意が必要だと思います。
全ての構造設計者は、事業主のニーズに応えるべく、無駄なコストを削減して、合理化を図るように設計を工夫しています。しかし、偽造はしません。
それは、建築設計という、安全性を確保することを通じて利用者の命を預かっているという非常に大きな社会的責任を負った職能につく者として、当然守らなければならない最低限のモラルだと認識しているからです。
 

現在の構造設計は大きくコンピューターの構造解析プログラムに依存しています。構造解析プログラムは、国から認定を受けているものだけでも非常に多数存在します。本来、構造解析プログラムは同じ建築基準法上の制限をクリアするようにプログラムされているので、どのプログラムを使っても同じ結果が出てくるはずなのですが、プログラムのアルゴリズムによって結果に差異が生まれます。その差異のレベルまで配慮して最も合理的な方法で構造設計するように工夫しているのが構造設計の現場の実情です。その為、計画内容に応じて、合理化を図るのに相性の良いプログラムを使い分ける事は一般的に行われています。さらに、構造解析プログラムは常にバージョンアップが繰り返されており、同じ構造解析プログラムでも、バージョンが異なると結果が異なる場合もあります。コンピューターの精度が上がれば上がるほどに、ニーズに応えるべく限界まで合理化設計することになるので、プログラムの癖が大きな要素となります。しかし、これは建物の安全性を図る上では非常に小さな要素であり、現実に安全性を左右するものではありません。そもそも、建築物は現場で手作りで作られるものなので、コンピューターの中のように、完璧な状態で作られることは現実的にはあり得ないからです。

 

姉歯事件は、このような背景の中、ブラックボックス化しているコンピューターの構造解析プログラムの出力データを改竄することにより、引き起こされました。出力データが改竄できるような状況でプログラムが認定されていたという事は、構造設計者の理性を全面的に信頼した上で制度設計がなされていた事の証ですが、姉歯設計士は世の中には理性を保つことができない構造設計士が存在することを知らしめました。

 

その後、全国規模で構造設計のチェックがなされましたが、姉歯建築士のように、大量に偽装工作を行う事例はほとんど見つかりませんでした。一方で、入力ミスによる耐震性能不足の案件が見つかりました。これらから、ほとんどすべての構造設計者は真面目に理性を保って設計活動をしていることが確認できたのと同時に、構造解析プログラムへの入力作業は手作業なので、設計者が注意を傾け、建築確認の審査でチェックしても、ヒューマンエラーを100%無くすことはできないことがわかりました。

 

そこで、耐震性に問題がある場合社会的影響力の大きい、ある一定以上の規模の建築物に関しては、適合判定という第三者によるチェックが行われるようになりました。

 

ここまでの流れは、適切な対応だったと思います。
ところが、運用面において、本来の目的とは異なる現象が生まれました。
本来、適合判定は偽装チェックと、入力ミスのチェックが目的だったはずです。
しかし、第三者チェックをする段階で、確認申請では求めていなかった検証を行わなければならない状況が生まれました。
基本的に確認申請を審査機関が審査した時点で、基本的な問題は解消されています。その計画を、第三者チェックをする際に、チェックする適合判定員の存在意義を示す為に、確認申請では求められない検証を求めるようになったのです。指摘事項がなければ、適合判定員が本当にちゃんとチェックしているかどうかわからないので、チェックしている事を示すために詳細検証を指示することで、適合判定員が仕事をしている「ふり」をするようになってしまったのです。これは本来の適合判定の目的とは全く異なる状況です。


指摘内容に設計者が対応すれば、さらに適合判定員の存在意義を示すために何か言わなくてはならなくなり、結果として指摘内容はより詳細になり、この繰り返しによって構造設計者が検証しなければならない事項が自己増殖し、膨大な量に膨れ上がることとなりました。現在の構造設計者の業務は、この膨大な検証作業に大きな負担を割かれています。


適合判定による第三者チェックにおいて、このような詳細検証をしなければならない理由は何なのでしょうか?繰り返しになりますが、姉歯事件とは姉歯建築士という一人の構造設計者のモラル欠如と、モラルを欠如した構造設計者が構造偽装することを未然に防止できなかった事が問題だったはずです。構造設計における詳細の検証が不足していたわけではありません。姉歯事件までの構造設計内容が検証不足で、それによって重大な問題が社会的に発生していたのでしょうか?東北地震によって、適合判定による第三者チェックを受けなかった建物は甚大な被害を受けたのでしょうか?いいえ、そのような被害は全く報告されていません。


構造設計は、阪神・淡路大震災後、大きく改正されました。
阪神・淡路大震災では、基本的に新耐震設計で建設された建築物の被害は軽微であり、旧耐震設計で建設された建築物の被害が甚大であったことは知られています。新耐震設計の中でも、ピロティー形式の建物の一部に大きな被害が出たことから、それらを踏まえた改正がなされました。その時も、現在構造設計の現場で検証しているような詳細内容における検証不足が、構造的に大きな被害を生んだという話は聞いたことがありません。現在、一体誰の為に、何のための膨大な検証作業を構造設計者はしているのでしょうか?

 

私は検証の為の検証に陥っているような気がしてなりません。
私自身は構造設計者ではありません。しかし、構造設計者の実務の現場を見ていると、そのような状況に構造設計者が限界まで疲弊しているように見えます。
その結果、構造設計を辞め、審査機関に転職して、審査官になる話を良く聞きます。また、検証作業の煩わしさから、単純で簡単な設計でなければ対応しない構造設計者が増えています。
斬新な考え方をしようものなら、検証作業につぶされてしまいます。
審査官によって指摘内容に大きく幅があるのも問題です。
その為、できるだけ検証作業を求めない審査官に見てもらえるように、審査官の出勤日を調べて提出することも、構造設計者の間では一般的に行われています。

 

本来、建築基準法で要請している内容について、間違いないか確認するのが建築確認申請を見る審査官の仕事のはずです。ヒューマンエラーは必ず起こるものです。そのようなヒューマンエラーを発見する為に、いろいろな目でチェックする事は必要なことでしょう。ところが、適合判定の導入に伴い、基準や判断が審査現場の裁量に依存することで、自動的に審査内容が自己増殖し、厳格化されていく制度となってしまっています。

 

木を見て森を見ずという言葉があります。
無駄な検証作業に忙殺されることで、結局単純で大きな部分でヒューマンエラーが起こりやすくなっているとは言えないでしょうか?果たして、こんな事で日本の建築物の安全性が向上していると言えるのでしょうか?
今や、構造設計者のクリエイティビティーを生かす機会は風前の灯です。
独自性を持った構造設計をしようものなら、検証作業の嵐につぶされてしまいます。もはや我が国に木村俊彦氏のようなスター構造設計者が生まれる余地は皆無でしょう。現在、日本の構造設計を取り巻く環境は末期的な様相を呈してきているように見えます。

 
おそらく、日本の構造解析能力は世界最先端だと思います。
それは地震国日本で培われてきた経験と、コンピューター技術の賜物だと思います。施工者の真面目さもあり、中国や韓国で報道されているような、自然倒壊するような建物は日本に皆無です。しかし、姉歯事件を機に設けられた様々な規制は、本質的でない部分で審査制度を肥大化させ、現在日本の構造設計を急速にガラパゴス化させつつあるように感じます。このことは、日本の経済活動を、静かに、そして大きく蝕んでいます。
 

何故、問題が生じたときに、本質的な問題点を見極め、ピンポイントで対処することが日本人はできないのでしょうか?3.11以後、構造設計を取りまく危機的状況は、構造設計だけでなく、日本の社会全体にも同様の傾向があるような気がしています。日本人は、自分で自分の首を絞めていることに無自覚すぎるように感じるのは私だけでしょうか?

 

姉歯事件以後、適合判定の導入以外に、偽装に対する厳罰化、構造一級建築士制度の導入や、一級建築士講習の法制化がなされました。偽装に対する厳罰化は当然です。しかし、構造一級建築士制度の導入や、一級建築士講習の法制化に何の意味があるのでしょうか?試験を受けたり、講習を受けたりすることで、構造設計者のモラル欠如を防ぐことができるのでしょうか?これら制度を実施する為に、また新たな外郭団体が結成され、官僚の天下り先が増えていきます。一体いかなる問題に対処する為に、姉歯事件以後の制度改正がなされたのでしょうか?
 

あまりにも適合判定が進捗しない事で、日本全体の建設産業に打撃を与え、社会的問題になった事で、国土交通省から通達が出され、審査の迅速化が図られるようになりました。しかし、構造設計者の検証作業が膨大であることは今でも改善されていません。
姉歯事件で、何故構造基準を厳しくする必然があるのでしょうか?
姉歯事件と、当時の構造基準の妥当性との間には、何の関係もありません。
当時の構造基準を守っていて、安全性に問題が生じるという話は一切ありませんでした。
にもかかわらず、何の為に構造基準を厳しくしているのでしょうか。
合理的な理由なく、単に適合判定という第三者によるチェック制度を導入したことにより、審査官が仕事をしている「ふり」をするために、結果として基準が厳しくなってしまっているだけではないでしょうか。
見かけ上の審査期間を短く見せかける為に、審査終了前に一旦申請を取り下げ、再申請することで審査期間が短くなるように見せかける行為が行われています。
これこそが、状況を隠蔽する偽装工作と言えるのではないでしょうか?
 



日本には、1981年以前に建設された、旧耐震基準で建設されたストックが膨大にあります。旧耐震基準で建てられた建物の中には、姉歯事件で耐震性能が確保できていないとされた建物よりもさらに耐震性能が劣るものも少なくありません。これらが速やかに建替えられなければ、街としての耐震性能は向上しません。しかし、あまりに過剰な構造基準は、このような動きを止めてしまい、結果として街としての耐震性能向上を止めてしまっています。


 
これから日本の人口は急速に減少し、2050年には8000万人台になることも予想されています。これだけ急速に人口減少するのですから、当然に経済規模も縮小することが予想されます。そのような社会状況下において、無意味な構造基準厳格化は街の耐震性能向上の動きを止めてしまい、結果として将来の震災時における被害を拡大させることに繋がっていると言えるのではないでしょうか。


2012年7月7日土曜日

今までの取り組み(マンション管理・知恵バンク構想)

■マンション管理の背景


現在、マンション管理において生じるトラブルの対処法について、管理組合等が相談できるような環境が十分に整っておりません。
というのも、 (財)マンション管理センタ-等公的機関が発行する本や、弁護士等が監修した本で、基本的な流れや法的な考え方を知ることはできるものの、実際の現場における工夫や対処方法を教えてくれるものはほとんどありません。
他の管理組合における状況を知る方法もほとんとなく、実際の現場における対処方法のノウハウが蓄積されていると考えられる管理会社や設計事務所等の専門家に相談しようとしても、あまた有る専門家の中で、良い専門家を選定するための客観的指標が全くありません。
トラブルへの対処法を相談するのに良い専門家とは、問題解消能力の高い専門家であり、この能力は、簡単に調べる事ができる会社の規模や企業系列、財務力等から判断できるものではありません。
公的機関が一般相談窓口を設けている場合もありますが、このような窓口も公的窓口として対応できる限界があり、具体的にトラブルへ対処する為に専門家を紹介しようとしても、立場上特定の専門家を紹介することができません。
従って、トラブルを抱える管理組合は、運を天にまかせて、身近な評判のみを手がかりに、縁のあった管理会社や設計事務所等の専門家に相談せざるを得ないのが現状です。
その結果、運が悪い場合は、そのことで、さらに新たなトラブルに管理組合が巻き込まれるような不幸な事態もおこっている模様です。


■マンション管理・知恵バンクの構築


このような現状の改善策として、私共はマンション管理・知恵バンクの構築を提案しております。
知恵バンクでは、まず相談者からのトラブルを公的機関が整理し、管理会社や設計事務所等、複数の専門家に質問と言う形で投げかけます。
専門家は各々の判断で対応策を回答し、その回答内容を公的機関が並列に整理して、相談者に開示します。
相談者は同一の問題に対し、並列に整理された複数の専門家による複数の回答を比較検討することができ、自らの判断の拠り所とすることができます。
また、相談者は的確な助言をしていると判断する回答者に対して直接問い合わせることができ、その後業務を委託することもできます。
この仕組みは、回答者による本質的な良い回答が、相談者による高評価につながり、回答者が相談者より直接問い合わせを受けるきっかけを生みます。
相談者はまさに頼りになる専門家を探しているので、回答者にとっては絶好のビジネスチャンスとなります。
このように、具体的な回答を通じて問題解消能力の高さをアピールすることが受注につながるので、各専門家はより良い回答を行おうとする好循環が生まれます。
また、他の専門家の回答内容をお互いに知ることで、業界全体のスキルアップにも繋がります。
マンション管理・知恵バンクを通じて質問と回答を重ねることで、開示される情報は客観的で多面的なものとして蓄積されていき、継続すればするほど、より有益なものに成長していくことが期待できます。


具体的事例として、神戸市及び神戸市住宅供給公社が運営する、神戸市すまいの安心支援センター「すまいるネット」において、この構想に基づく冊子を企画・編集して作成致しました。

現在までに、下記の計4冊が発行されています。
「マンション管理 私の知恵 みんなの知恵」 発行:神戸市
「マンション管理ガイドブック(入門編)」 発行:神戸市
「マンション管理ガイドブック(実務編①:管理費滞納問題対策編)」 発行:すまいるネット
「マンション管理ガイドブック(実務編②:修繕工事編)」 発行:すまいるネット


現在直面しているトラブルに対応する冊子でなくても、この冊子を読む事で、各専門家の問題解消能力を読者毎に判断する事ができます。
そういう意味では、この冊子は、いずれかの専門家に何らかの相談をしようと考えている管理組合にとっても、非常に有益な手掛かりを与えてくれることでしょう。
そして、本来立場上特定の専門家を紹介することができない公的窓口も、この冊子を紹介することで、個々の管理組合に管理会社選定を検討する手掛かりを提供することができます。
このような役割こそ本来公的窓口が行うべき役割だといえます。


私共では、将来的にはインターネットを活用して、自己増殖的に知恵バンクの内容の充実が図れるようなシステムの構築を目指しています。


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2012年7月6日金曜日

今までの取り組み(レスタジア南田辺)



長居公園の北側に隣接する老朽化した木賃アパートの所有者から、コーポラティブ方式を活用した建替えの相談を受けました。
長居公園は、東、南、西は大きな幹線道路に面していますが、北側のみ、一方通行の緑道のような公道に面しています。
その公道は通過交通が入り込まないように、車で入ろうとしても経路が限定されるように工夫されており、この道に直接面する北側の地域はまるで長居公園を自分の庭のように取り込むことができる、絶好の住環境を持っていました。

土地所有者の先代が戦後建てられた木賃アパートは、老朽化が進み、長年住み続けている高齢者が数件いましたが、新規入居者を得ることができない状況でした。



この木賃アパートは、先代の所有する土地の上に建設され、親族法人で所有していました。その結果、この親族法人は借地権を保有する形になっていました。
さらに北側1/3程度は第三者に借地して建物が建っており、南端の西側半分に関しては先代の弟が土地建物共に所有している状況でした。
こんな状況の中、先代がお亡くなりになり、法定相続によって土地は親族で共有する形になっていました。



借地権、所有権、共有の権利関係が入り組み、このままでは権利の整理がつかない状況でした。
そこで、北側の借地部分は分筆して事業から切り離し、等価交換でコーポラティブ方式の共同住宅を建設し、それぞれの従前権利評価に応じた床を取得するか、従前権利評価に応じた金員を支払って、従前の権利関係を整理することになりました。
南端西半分の土地建物共に所有されていた先代の弟は、先行して他の住宅を購入していたので、居住用資産の買い替え特例を利用し、転出することになりました。


底地を共有で所有していた親族と、木賃アパートを所有し借地権を持っていた親族法人は、それぞれの評価に基づき、立体買換えの特例を利用して新たに建設するコーポラティブ方式の共同住宅の床を取得することになりました。

いわゆる等価交換を実現する立体買換えの特例は、権利者が個人の場合と法人の場合とで、法的根拠が異なります。

権利者が個人の場合、課税特別措置法37条が適用されます。
譲渡資産の所有期間の制限はなく、従前用途の制限もありません。
従前資産の種類は土地等(借地権含)及び建物、構築物です。
買替により取得する資産の100%の課税が繰延べとなります。

権利者が法人の場合、課税特別措置法65条が適用されます。
この場合、譲渡資産の所有期間は原則5年超で、従前用途は自己の事業用、貸付用等に限定されます。
従前資産の種類は土地等(借地権含)及び建物、構築物です。
買替により取得する資産の80%の課税が繰延べとなります。

この制度を活用して、底地を共有していた親族、借地権を持っていた親族法人それぞれで別区画を保有し、将来分離処分できる状況に整理しました。



大阪市は大阪市民間老朽住宅建替え支援事業を行っており、老朽住宅を建替えて共同住宅を建設する際には補助金が交付される制度があります。
この事業に採択されると、建替え計画策定費、建替え建設費の補助を受けることができます。
要件としては、2以上の土地所有者等が2以上の敷地において、一つの構えをなす建築物を建設する場合で、設計費、除却整地費、空地等整備費の一部、および共用通行部分整備にの一部が補助対象となります。
さらに、従前居住者に対する家賃補助も行われます。
申請の結果、本事業は大阪市民間老朽住宅建替え支援事業に採択され、補助金を得ることができました。



通常、住宅金融公庫の融資は、建物が完成して入居する際でなければ実行されません。
しかし、本事業のように先行して土地取得等しなければならない案件に対しては、都市居住再生融資の中にある初動期資金融資という制度が活用できることを発見しました。
この制度は、制度としては作られているものの、関西での実績は無く、首都圏でも数例の実績があるのみでした。
しかし、せっかく制度としてあるものなので、住宅金融公庫と相談し、この制度を活用して進めることになりました。
この後、住宅金融公庫は住宅金融支援機構となり、融資制度内容が全面的に見直されたので、結果として、本プロジェクトは、この制度を関西で唯一活用した案件となりました。



全体計画としては、南面が長居公園に直接面するという絶好のロケーションを活かして、全戸南向きの計画としました。募集開始当初は専有面積約80㎡の住戸が6戸、約90㎡の住戸が5戸、約85㎡の住戸が2戸の計13戸でしたが、最終的には約50㎡の住戸が4戸(親族法人所有賃貸住戸)、約65㎡の住戸が1戸、約80㎡の住戸が5戸、約85㎡の住戸が2戸、約100㎡の住戸が1戸の計15戸となりました。

非常にバリエーションに富む計画となったので、外観の開口部や壁面形状にもそのバリエーションの多様性があらわれています。



各戸のバリエーションも豊かなものになりました。
3人の幼児のおられるご家族の住まいは、大きなリビングを中心として、各居室にアクセスするプランとなりました。オープンなキッチンからは住まい全体を見渡すことができます。


子供部屋は仕切らずに大きなワンルームとし、将来の成長過程に応じて仕切ることもできるようなプランとしています。



こちらは4階の、成人した親子2人で暮らす住まい。
各個室の独立性を確保して公園に面する南向きに配置し、共用リビングを北側に配置しました。
玄関を入るとすぐに共用リビングが広がります。


しっかりとした広さを確保したパークビューの個室。
シェアハウス的な雰囲気を持っています。


同じく4階の隣の住まい。
大理石を用いた、透明感のある玄関。
隣の住まいの玄関の雰囲気とは全く異なります。




リビングにはくつろげる和室コーナーを設けました。


キッチンスタジアムをイメージした、オブジェのようなキッチン。


最上階は高い天井高を活かした大空間を実現しました。
キッチンと一体化したダイニングテーブルと、薪ストーブが印象的です。


リビングに隣接する寝室にはパークビューの書斎スペースを設けています。


洗面と一体化した浴室。



長居公園は大阪市内でも最も大きな緑地であり、その丁度中央部分に立地するレスタジア南田辺は、近くに幹線道路が走っていないので大阪市内とは思えないほど静かであり、夏場でも窓を開け放すと緑地を経由した爽やかな風が通り抜けます。

200坪足らずという、一般的な分譲マンション事業には適さない小規模な土地ですが、まるで区画整理のように、複雑な権利関係を権利変換によって解消することができました。

このような形でコーポラティブ方式を活用することができれば、非常に意義のある事業として取り組むことができるのではないかと思います。

2012年7月5日木曜日

今までの取り組みについて(帝塚山イクス)

大阪市内において、高級住宅地として知られる帝塚山界隈。
邸宅街である帝塚山も、一般的なマンション事業を計画するには邸宅跡地では土地の規模が小さく、住宅供給が活発とは言えない状況でした。


帝塚山の中でも中心と言える、帝塚山中1丁目で、土地が売りに出されている情報を発見しました。180坪もある敷地でしたが風致地区に位置し、南港線に面しているのでマンション事業にはピッタリですが、一般的な分譲マンション事業には規模が小さすぎます。
そこで、不動産業者を介して土地売主にコーポラティブ事業の提案を行ったところ、非常に好意的に受け止めてくれました。
土地売主と協議を重ね、条件的にも合意を得て参加者募集をしようとしていたところ、土地を担保に土地売主に融資をしていた都市銀行からストップがかかり、たとえ評価額が安くなろうとも売買契約を先行しなければ広告行為をしてはいけないとの事でした。
これではコーポラティブ事業を進めることができません。
そこで、数年前から共同でコーポラティブハウスに取り組むことができないか協議してきた、関西電力の不動産子会社である、関電不動産に相談したところ、一旦関電不動産が土地を買い取り、協同でコーポラティブ事業として進めようという事になりました。

関電不動産としては、この程度の規模の土地で一般的なマンション事業を進めようとしてもモデルルーム経費等考えると採算が合わないので完成売りを前提に考えざるを得ませんが、コーポラティブハウスで取り組むと、先行して入居者を確定できるので、大幅に事業リスクが低減できるというメリットがありました。それまで基本的には関西電力の保有不動産の管理運営を中心に事業展開を行ってきた関電不動産は、マンションディベロッパーとしては後発であり、他社と競合しにくい商品企画や事業運営を当時模索していました。

コーポラティブハウス事業として見た場合も、未募集住戸が残っていた場合でも、関電不動産が一旦参加する形で事業を進めることができるので、確実に事業化し、事業に安定性を与えることができるというメリットがありました。

募集開始時点より3ヶ月間という期間限定で募集を行い、その期間に募集できた方々と関電不動産で建設組合を結成、その後も継続募集を図り、参加希望者が現れた時点で関電不動産から地位承継を行って事業参加していただくというやり方で事業を進めました。

その結果、当初想定していたスケジュールで事業を進めることができました。

当初募集時の設定は、専有面積約120㎡が4戸、約90㎡が4戸、約75㎡が2戸の計10戸でしたが、コーポラティブハウスとして募集している間、検討者の予算と希望に応じて専有面積調整を行い、約105㎡が4戸、約120㎡が2戸、約90㎡が2戸、150㎡が約1戸の計9戸となりました。やはり、実際のニーズに対応する形で事業を進めたことにより、この事業に参加を希望される方々の希望条件で参画していただくことができ、この方式の可能性を実感しました。

関電不動産と協働したコーポラティブハウスの取り組みは、業界紙である不動産流通新聞でも大きく取り上げられました。



住宅流通新聞:次代の土地利用と住宅供給を探る(2001.2.13)
http://www.cube-3.co.jp/press_html/press_news_jutakuryutu2004.2.13.htm



各住戸は、帝塚山にふさわしいゴージャスな住まいとなりました。
1階住戸は、当初2戸で想定していた住戸を1戸とした、150㎡の広々とした住戸になりました。
大型犬を飼われるこの住まいにふさわしい、広々としたリビングを実現しました。
床面はタイル貼り、壁面は珪藻土を採用。
広々とした南向きの専用庭は、入居後に薔薇園にされて、美しく管理されています。



リビングに連続する、コの字型のオープンキッチンにも窓を配置。


リビングに連続した専用屋内ガレージとの間はFIXガラスで遮断し、リビングから直接車が見えるようにして、ガレージインハウスの趣を持たせています。


さらに、出入り口には大型犬の足洗い場を設置しています。


広々とした洗面室の洗面化粧台にはツインボール採用。


ジャクージ社のジャグジーバスを採用しました。


3階のこちらの住まいは、天井までのハイサッシと、間接照明と天井埋込エアコンで構成されたすっきりとしたリビングダイニング。



ミーレ社製の食洗機を実装した、ドイツ:ヘッカー社製のシステムキッチン。



鏡面で構成された、オリジナルの洗面化粧台。


この住戸でも、ジャクージ社製のジャグジーバスを採用しました。


本事業を通じて、コーポラティブハウスに対するディベロッパーと協働した取り組みを探ることができました。特に、関電不動産のように、徹底したコンプライアンスが要求される企業と協働することで、コーポラティブ事業における事業フローや各種契約書等を詰めなおす事ができました。

2012年7月4日水曜日

今までの取り組み(アンビエンテ北野)




この計画地は、神戸は北野町の異人館街に位置し、異人館街の中心にある「風見鶏の館(トーマス邸)」の前の公園から東西に伸びる石畳の小路を東に歩くと、突き当たりに位置します。異人館街の中でも特徴的な土地です。





ここには、明治40年築の洋館と洋菓子メーカーの社員寮が建っていました。この洋館には北野町が全国的に有名となるきっかけとなった、昭和52年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「風見鶏」のモデルであるドイツ出身のパン職人と、現在洋菓子メーカーを経営するその子孫が阪神淡路大震災まで住んでいました。しかし、阪神淡路大震災で被災し、洋館は解体、部材は市に寄贈されました。その後、洋館は民間企業が部材を譲り受け、北野坂沿いの別敷地で「北野物語館(スターバックス)」として再建し、登録文化財になっておりますが、北野とともに歴史を歩んできた物語を持つこの地には洋菓子メーカーの社員寮が被災した状態のまま残されていました。


三宮から徒歩13分、新神戸から徒歩5分と、主要ターミナル駅から徒歩圏に位置しながら、真後ろには六甲山が控え、数分で渓谷に入って行く事ができ、遠くは関西空港まで海を望む事ができる眺望を持つ、環境と利便性が両立した非常に良好な住宅地です。しかし、敷地の持つ諸条件から一般的な手法での事業化が困難で、被災後何年もそのまま放置されている状況でした。そこで、ここに住みたいと願う人々が集まり、この地にコーポラティブハウスを計画する事で、地域の持っている優れた住環境に寄与し、個々のライフスタイルにあった独自の住居を取得することを目指すことになりました。




この敷地は、北野町独特の43条2項道路に約7mしか接道しない約160坪の東西に長いひな壇状の変形敷地で、日影規制の他、都市景観形成区域内ということもあり13mの高さ制限や1mの壁面後退など非常に規制が厳しく、建売住宅や分譲マンション等一般的な住宅供給事業には適しませんでした。 観光通りから少しそれていることで観光客相手の商業用利用もしにくい状況でした。




「風見鶏」によって一躍全国的に脚光を浴び観光客が訪れるようになった北野町が、北野町らしい景観を形成し、良好な生活環境の維持及び育成を図る為に昭和54年に都市景観形成区域が制定され、北野町の乱開発を抑制してきました。

しかし一方で、その規制が一般的な事業を困難にし、地域への資金流入の障害となり、阪神淡路大震災後、北野町の空洞化が進みかねない状況が生まれていました。規制がかけられてから約30年間、北野町1・2丁目では新規の分譲マンションは全く供給されていない状況でした。


本事業は、コーポラティブ方式を用いる事により、この地において可能な、また期待されるべき住宅供給の一つのあり方を提示したいと考え取り組んだものです。「風見鶏」のモデルとなり、都市景観形成区域制定のきっかけとなったこの地から、都市景観形成区域の主旨に沿った住まいのありかたを提案することで、北野町の活性化に繋がる事を期待しています。




コーポラティブ方式で事業化するにあたって、住宅としての基本的性能を確保した上で、土地のポテンシャルを最大限生かすよう工夫しました。 土地形状的に日影規制が厳しく、これをクリアした上で建物のボリュームを最大限確保するために勾配屋根としました。この勾配屋根には年月と共に建物に風格を与える様天然石スレートをうろこ状に葺き、この屋根が建物の外観を特徴づけています。敷地形状が変形なため、相当複雑に折り重なる屋根形状となりましたが、このことを活用して建物を分節化し、建物全体のボリューム感を低減することで、北野の地域が持つ北野らしい雰囲気に調和するよう配慮しています。

塗壁調の外壁にはロートアルミの手摺を設置し、北野町独特のエキゾチックな雰囲気を演出しました。コーポラティブハウスで実現する様々な住まいにより生まれる開口部のバリエーションも建物に変化を与え、全体の統一感と多様性のバランスを確保しています。

4階には共用テラスを設けており、ここから六甲山や神戸市内を一望することができます。このスペースを起点として、入居者間のコミニュケーションが日常的に生まれ、健全なコミュニティーが育まれる事を期待しています。

配置図兼1階平面図、2階平面図


3階平面図、4階平面図

新聞折込チラシや計画地近傍へのチラシ配布を通じて事業への参加者募集を行い、集まった参加希望者で「北野町コーポラティブハウス建設組合」を結成し、事業を推進しました。建設組合員は周辺地域住民を初め、ニュータウンの庭付一戸建からの住替え、二世帯居住や賃貸からの住替え等様々で、世代構成も20代から70代まで各世代が全て含まれ、従事する職業や就労形態も様々で、非常に多様性の高い人々の集まりですが、お互いに協調して事業を完遂し、それぞれが個々のライフスタイルにあった住戸を取得しました。コーポラティブハウスという参加型の事業を通じて得られた経験が、住みはじめてからの管理運営や地域の自治活動への積極的な参加に繋がる事を期待しています。


アンビエンテ北野 地鎮祭
建設組合員が参加して行った地鎮祭

アンビエンテ北野のスケジュール

外観的な特徴としては、年月と共に建物に風格を与える様天然石スレートをうろこ状に葺いています。


敷地形状が変形なため、相当複雑に折り重なる屋根形状となりましたが、このことを活用して建物を分節化し、建物全体のボリューム感を低減することで、北野の地域が持つ北野らしい雰囲気に調和するよう配慮しています。



塗壁調の外壁にはロートアルミの手摺を設置し、北野町独特のエキゾチックな雰囲気を演出しました。コーポラティブハウスで実現する様々な住まいにより生まれる開口部のバリエーションも建物に変化を与え、全体の統一感と多様性のバランスを確保しています。



西側2階には株式会社キューブが入っています。
当初より株式会社キューブが入る予定をしていたので、マンション内に入る事なく、直接前面道路から階段でアクセスすることができるようにしています。
伝統的建築物に指定され、現在結婚式場として運営されている「サッスーン邸」を、事務所から借景として臨んでいます。



1階住戸にはテラスを設け、外部と一体化して使うことができるようにしました。
また、この住戸のリビングはシアタールームとして、120インチのスクリーンと、サラウンドスピーカーが実装されています。




こちらは2階の住戸ですが、一部床を上げることで、中間階なのに掘りごたつを設定しています。
段差を利用して、収納も確保しました。
モノトーンでまとめた住まいですが、オリジナルでお洒落な玄関と洗面が特徴的です。


先ほどと同じ2階のもう一つの住戸です。
先ほどの住まいとは対照的に、ビビッドなオレンジを基調としたデザインの住まいです。
廊下をギャラリースペースとして活用する為に、ストイックなデザインとしています。
IT関係のお仕事をされており、リビングの一部に行燈を模したワークスペースを確保しました。


キューブの上に位置する、3階の住まいです。
キューブと同様、「サッスーン邸」を借景として臨み、窓からは緑があふれています。
勾配天井を活用して、和室にロフトを設けて立体的に利用できるすまいを実現しました。
天然無垢材を多用し、木のにおいが漂う住まいです。


4階は1住戸だけなので、360度神戸を見渡すことができる絶景の住戸です。
ラグジュアリーホテルのような内装を志向され、家具もすべてオリジナルで制作されました。
南向きに神戸を見渡す大きな窓を持つ浴室は、ジャクージ社のジャグジーバスにシャワーブースを設置しています。
フル装備のキッチンの窓からも、神戸の夜景を一望できます。


本プロジェクトは、まさに「売却しようとしている土地があり、そのエリアに住みたい人も居るにもかかわらず、今までそれを繋ぐ事業手法がなかったので住宅供給がなされていない良好な住環境の地域」で事業化することができたのではないかと思います。

この地域では過去30年にわたり分譲マンション供給がなされてこなかったので、マーケティングリサーチをしても空白地帯でした。
しかし、事業を通じて確実に需要が存在することが確認できました。
今まで供給がなされてこなかったのは、需要と供給を繋ぐ事業手法がなかったからです。
このような地域で事業化を図ることは、売主、買主双方の希望を叶えることに繋がりました。

そして本事業を通じて、地域のポテンシャルアップにも繋がり、地域からも歓迎される事業に成り得る事を実感しました。

この地域は、伝統的建築物群保存地区や、都市景観形成地区など、地域住民と行政が協働して地域景観をまもりそだててきた地域として有名です。従って、コーポラティブハウスと言えども、新規のマンション建設事業であることには変わりはないので、参加者募集に先駆けて、地元自治会に接触し、事業に対する理解と協力を求めました。事業推進者としては、事業を行うことで従前環境に変化をもたらすので地元からの反発も予想していたのですが、コーポラティブハウスの事業主旨をご理解いただき、非常に好意的に受け入れてくださりました。なんと、募集活動にも応援していただきました。定住志向で地域に参加しようとするものに対しては地域はWELCOMEだったのです。これは、今まであちらこちらで見てきた一般的な分譲マンション事業において地域と対立する構図とは全く異なる展開で、驚くとともに色々と考えさせられました。

一般的な分譲マンション事業の事業主はマンションディベロッパーであり、基本的にマンションディベロッパーは利益を生むために事業を行っており、マンションを売却してしまえば地域との関係は全くなくなってしまいます。そういう意味ではマンションディベロッパーは事業を行う地域に対する責任は負っておらず、利益を生み出すために予定通り事業が完遂できれば良いというスタンスが基本です。従って障害を速やかに解決するためには金銭解決も行います。そのような事業に対して地域が対立するのは、いわば当然の事であり、マンションディベロッパーが利益を生み出す事に対して、どんな事であれ地域が犠牲を払う義務はないという意識があるからだと思います。
コーポラティブハウスは、住む人が自ら主体的に行う事業なので、住む人はマンション完成後も地域に対する責任を負うことになります。この点が、自らの利益の為に売り逃げをするマンションディベロッパーのスタンスとは全く異なります。
震災後放置されていた洋菓子メーカーの社員寮は、地域でも問題になっていました。それが自ら建設して住む人々によって新しマンションに生まれ変わり、地域の懸案が解消されるということは、地域にとっては最も歓迎すべき方向性だったようです。
本事業によって、大なり小なりマンション建設事業は地域と対立するものであるという常識が覆されました。コーポラティブハウスは地域と協調して事業を進める事ができる可能性もあることに気付かされました。


本事業での取り組みは、神戸新聞で紹介され、住宅流通新聞という業界紙でも、大きく取り上げられました。
そして、住宅金融公庫から、KANSAI優良団地賞を受賞しました。


住宅流通新聞:神戸北野町コーポラ事業(2003.5.9)
http://www.cube-3.co.jp/press_html/press_news_jutakuryutu2003.5.9.htm

神戸新聞:朝ドラ「風見鶏」ゆかりの地にコーポラハウス(2004.5.30)
http://www.cube-3.co.jp/press_html/press_news_kobe2004.5.30.htm