さらに、その内訳を見てみると、単独世帯が激増し、夫婦と子からなる世帯が激減する傾向にあることが確認できます。これを絶対数で比較すると、単独世帯は約400万世帯増加し、夫婦と子から成る世帯は約400万世帯減少するという事です。
この変化が、この統計によると25年の間に起こるという事ですから、1年あたり、16万世帯づつ、単独世帯が増加し、夫婦と子から成る世帯が減少するという事です。
これは全世帯数の1%以上にもあたる、ものすごい変化です。
他の類型別世帯数も変化はありますが、これほどの変化はありません。
現時点では、何らかの形で全世帯がどこかの住宅ストックに居住しているわけですから、この変化に伴って夫婦と子からなる世帯向けストックが余り、単独世帯向けストックが不足することが考えられます。
この急激な変化を踏まえることなく、将来における賃貸動向を考えることはできません。
一方で、住宅やインテリアに関する雑誌やテレビ番組は増え続け、関心は増すばかりです。
「衣」「食」足りて、「住」に関心が向かっているのでしょう。
しかし、雑誌やテレビでは取り上げられるものの、実際に供給される住まいは供給者主体のものが中心で、以前とあまり変わり映えがしません。そのフラストレーションが購読や視聴に向かわせているのかもしれません。
また、様々なインテリアショップが新規出店され、それぞれが流行っています。
現在、日本ではありとあらゆるインテリアに対応することができる程、多様なニーズに対応できるショップが展開されています。
思い通りの住まいを取得することは難しいので、手の届くインテリアにこだわっているのかもしれません。
さらに、ミッドセンチュリー等、古い建物や物の再評価が行われ出しています。
今までほとんど見過ごされてきた事も再評価され、趣味嗜好の多様化が急速に進んでいます。
そして、その多様化に応じるように、様々なショップ展開は広がり続けています。
ここ数年でテレビの大型化が急速に進みました。
ハイビジョンやインターネットとの連携も普及しつつあり、住まいにおけるテレビの位置づけも急激に変化していると言えます。
以上のような変化が急激に起こっているのが現在です。
しかし、これだけ家族構成やライフスタイル、趣味嗜好が変化しているにもかかわらず、ほとんど変わっていないのが、器である住まいです。
今まで、分譲に限らず賃貸においても、我が国の住宅供給は供給者主導で行われてきました。
その結果、住まいに住み方をあわせるしかありませんでした。
例えば、賃貸マンションを計画する際にも、できる限り1住戸単位を小さくした方が、坪賃料が高く取れ、収益性が向上するという供給者側の理屈で、狭小のワンルームマンションが至る所で供給されました。
しかし、そのようにして作られた狭小のワンルームマンションは過剰供給となり、賃借人がつかなくなってきています。
数の上ではストックが充足し、選択できるようになったことで、利用者自身が住み方にあった住まいを求めるようになったのです。その結果、利用者主体で計画された事業でなければ、相手にされなくなりはじめています。
今、求められているのは、多様な住み方に応える住まいです。
じかし、情報過多な一方、多様性に応えるマーケットは未成熟で、特に賃貸マーケットは未成熟です。
昨今、デザイナーズマンションがもてはやされていますが、デザインに特化した新奇性のみでは持続可能性を持ちません。
むしろ、様々な住み方に対応できる、柔軟な「箱」が期待されていると言えます。
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