2017年1月16日月曜日

フォーラム「神戸ハウス北野について」

神戸北野から発信する持続可能な集合住宅 フォーラム

「神戸ハウス北野について」
・・・・・・株式会社キューブ 設計者 天宅玲子






キューブの天宅玲子です。 
神戸ハウス北野の計画について説明致します。




まず立地環境を説明致します。
フォーラム会場であるホテル北野プラザ六甲荘の前の道・不動坂を上がっていくと、緑の塀で有名な異人館「サッスーン邸」がありますが、「サッスーン邸」の西側隣接地が計画地です。



北野町山本通重要伝統的建造物群保存地区に位置し、周辺に伝統的建造物に指定された異人館や和風建築物が点在しています。

薄い赤丸が、伝統的建造物に指定されている建物です。

まさに、伝統的建造物が集積する、その真ん中と言える場所に位置しています。




敷地は、もともと香港上海銀行の役員社宅として建築された1軒のお屋敷の跡地です。

戦後、神戸の企業が購入し、創業家の親族が住んでおられました。

敷地面積は約2000㎡、600坪あります。

なだらかな南斜面を利用して北側に住宅、南側は広大な庭として利用されていました。





従前のなだらかな斜面は切り盛りせず、そのままの地盤面を利用した計画を行いました。
開発の擁壁等は作っていません。



イギリスのセミデタッチドハウス形式の二戸一住棟棟計12戸、駐車場棟棟を分散して配置しました。

1住戸の面積は100120㎡です。

住宅は木造2階建 準耐火構造です。

東側の不動坂からのアプローチと、南側の石畳の小径からアプローチできます。

車は東側から進入し、メインエントランスは石畳の小径に向けて取っています。



1棟の大きさは、隣のサッスーン邸とほぼ同規模です。

屋根形状を異人館と同様の寄棟とし、地域景観になじませるように配慮しました。

神戸市と地域の方々の協力を得て、6敷地の一団地として建築基準法86条の認定を受けています。



なだらかな南斜面に、隣棟間隔をとって住棟を配置しました。


敷地の南側が公園ということもあり、日当たりはもちろんのこと、南側の建物の屋根越しには眺望が開け、港まで見渡せます。眺望は後ほどの見学会でご確認ください。




敷地全体の完成予想図です。

北野町の華やかな雰囲気のエッセンスを建物に取り入れたいと思いデザインしました。

洋瓦葺きの屋根、塗り壁、鋳物の手摺や門扉などで構成しています。



華美にならずに、華やかな雰囲気が醸し出され、落ちついたデザインの中にも明るい楽しげな雰囲気が感じられる・・・そのようなデザインを目指しました。




敷地内の通路は、アスファルト舗装ではなく意匠的な平板を敷き詰め、華やかな雰囲気を演出しました。





先ほど申し上げた、一番北側の棟からの眺望は、屋根越しの眺望となります。

このような感じです。屋根も眺望の一部になるように計画しました。





この地域は非常に緑の多い地域です。

南側向いは北野町東公園、東隣はサッスーン邸です。



敷地内に高木、中木、低木、地被類と色々な植栽を植えます。


地域で植樹を進めているオリーブや、季節ごとに色々な花も楽しめるよう、丈夫な樹種を選びました。共用部から管理できる位置に植栽を配置しています。



南側の北野町東公園・その北側の石畳の小径を挟んで公開空地を設けています。

植栽とベンチをつくり、地域の方々や観光客に開放する計画です。







建物の意匠上の制約を団地管理規約でルール化しています。



先ほども説明しましたが、植栽の剪定等の管理は団地管理組合で行い、小さな個人の負担で、良好な植栽状況が保たれるようにしています。






セキュリティーに関しては二段階のセキュリティとなっています。
赤の点線のところで、外周のセキュリティラインを設定しています。

その部分には、1200の高さの塀の上に600の高さの鋳物の柵を配置しました。



東側と南側のエントランス門扉はオートロックです。

来客時はマンション同様に門扉前の集合インターホンで通話し、住宅内からオートロックを解除する形になります。

1次セキュリティ内には、監視カメラを4台設置しています。



車が侵入する東側門扉はリモコンで操作できます。





青の点線の二次セキュリティは、各住戸単位です。
玄関に防犯センサーがついており異常があると警備会社に通報されます。










南側門扉部分メインエントランスのパースです。



エントランスゲート廻りにも監視カメラを設置しています。
レンガのところに、集合インターホン、郵便ポストを配置しています。

右手は、先ほど説明した公開空地です。




敷地内通路には共用灯を配置し、夜間の景観演出とセキュリティを向上するよう、タイマーで制御しています。







内部空間のパースです。



先ほどのセキュリティラインがあることで、開放性の高い計画としています。



窓からは景色だけでなく緑も楽しめるように配慮しました。



全住戸2階にリビングを配置し、屋根なりの勾配天井とし、間接照明やダウンライトで演出しています。


内装は、朝景・昼景の似合う明るく健康的で、あきのこないデザイン。

色々な家具に合わせやすく、奇をてらわず、上品でコンサバティブですがモダンなイメージで構成しました。



キッチンや浴室などは上質なものを選定しています。

内部の建具もデザインしたものを作った製作建具としています。





最後に持続可能性について触れたいと思います。



建物は長期優良住宅制度の認定を受け、耐久性の高いものとなっています

住戸の界壁は二枚として、構造的に独立しているので、将来1戸単位の建て替えの道を開いています。



2枚壁により遮音性能も確保しております。



以上です。

どうもありがとうございました。

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