2013年4月10日水曜日

街なか居住のすすめ:9


さらに複雑な権利関係を、事業を通じて整理した案件もあります。
従前は、戦後間もなく建設された木賃アパートが立ち並んでいました。
しかし、時代に合わなくなった木賃アパートは、どんどん入居希望者が減り続けており、空室で新規募集を図っても、全く反応が得られない状況になっていました。

従前の木賃アパートは、親族法人が所有することで借地権が発生しており、底地は相続権利者の共有となっておりましたが、既に二次相続が発生し、底地を兄弟で共有している状況でした。さらに、一部住戸は、土地建物ともに、先代の兄弟が所有しておりました。

木賃アパートを解体して、新たに賃貸マンションを建設する計画が検討されましたが、親族法人と親族間で複雑に絡んだ権利関係が問題となり、具体化に至りませんでした。このまま放置しておき、このままの状態で次の代に継承されると、さらに権利が複雑になり、権利関係を整理する事が不可能になる事態も予想されました。

そこで、等価交換により、親族法人、底地を共有する各権利者毎に権利変換して住戸を取得することで、権利関係を整理しました。一部の土地建物を所有していた先代の兄弟は、居住用資産の買い替え特例により、地区外のマンションを購入しました。従前はほとんど入居者がおらず、売り上げの上がっていなかった親族法人ですが、等価交換により取得した賃貸住戸から収益が得られるようになりました。

このように、等価交換を活用する事で、資金投下することなく複雑な権利関係を整理し、収益を得ることができる状況にすることができました。


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