2013年4月16日火曜日

街なか居住のすすめ:14


次に行った定期借地事業でも、等価交換のような形で事業フレームを構築しておりますが、こちらは租税特別措置法の立体買い替えの特例ではなく、先払い地代の考え方に基づいて、事業を構築しました。先払い地代の考え方とは、少しでも定期借地事業における収益性を向上させるべく、一時金を先払い地代と捉え、定期借地期間に散らして計上するという考え方で、一時金が単年度課税される場合と比較して、大幅に税率を低減させることを狙った取組です。この考え方は、国土交通省を通じて財務省に投げかけられ、考え方の妥当性が確認されました。先程ご紹介した塚口の事例のあと、この考え方の妥当性が確認されたので、本事業ではこの考え方に基づいて事業を構築しました。

本事業は、極端な旗竿形状の420坪もある邸宅跡地で、敷地内に高低差があり、多くの植栽が自生している状況でした。接道状況から開発することもできず、従前の土地状況をそのまま活かす事業計画が求められました。
そこで、本事業では従前の地盤形状や緑をそのまま残し、一団地申請により、平地部分に建物を分散配置させる計画を行いました。
京都市では、長らく民間事業に対して一団地の許可を与えて来なかったのですが、本事業では定期借地の原契約において、増改築に対する制限を加えることにより認められました。

具体的には4棟のテラスハウスで団地を構成し、その1棟は土地所有者が建てる賃貸住戸として計画しました。この賃貸住戸を建てるに当たり、先払い地代を充当することで、土地所有者の負担を大幅に低減することができました。このように、単純な定期借地事業ではなく、賃貸事業と複合化
することにより、事業性を向上させることに繋げることができました。


定期借地事業は、普通に計画してしまうと、収益性の高い事業を構築する事は困難です。
しかし、先程の塚口の事例は診療所との複合化、本事業では賃貸住宅との複合化を図っており、複合化することにより、より収益性の高い事業を構築する可能性が広がります。

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