2012年5月24日木曜日

コーポラティブハウスの自由設計

分譲マンションは、モデルルーム経費や広告経費がかかるため、ある程度規模がまとまらないと事業性が低いので、マンション事業者は出来るだけ大きな事業規模を求めます。
事業規模の大きいマンションで一般的な全体計画は下図のようになります。




切り分けた羊羹に似ていることからヨーカン型と呼ばれています。
ヨーカン型マンションの住戸プランニングには共通する特徴があります。
下図は典型的なヨーカン型マンションの住戸プランです。
ヨーカン型マンションの住戸を1住戸切り出して見ると、まず気が付くことですが、壁の半分以上を両隣の家との間の界壁が占めている事です。
したがって、窓はバルコニー面か共用廊下面にしか取ることができません。
一般的に80㎡程度の住戸であれば間口が6.3m程度のものが多く、この場合奥行は12.6m程度あります。
周囲の壁の長さは6.3×2+12.6×2=37.8mあるわけですが、窓を設けることができる壁の長さは6.3×2=12.6mしかなく、その他の37.8-12.6=25.2mは隣説住戸との間の界壁で、窓を設けることはできません。
窓を設ける事のできる12.6mの内、6.3mは共用廊下に面しているため、窓を取っても独立性は確保されず、独立性の確保された窓はバルコニー側の6.3mの壁に設けられたもののみとなります。
このような、前提条件の中で、ヨーカン型マンションの住戸はプランニングされています。
各居室には窓が必要なので、窓を取ることができる限られた壁面に設ける事になります。
その結果、バルコニー面の窓をリビングに配置すると、どうしても個室は共用廊下に向けて取らざるを得なくなります。
これでは、窓のある独立性した個室が全く取れません。
お風呂や洗面など、水回りに窓を設ける為には、かなりプラン上無理をしなければなりません。
窓の取り方に限界があるので、たとえば中古で購入してリノベーションをしようとしても、プラン変更の可能性はほとんど無いことが確認できると思います。






一方、コーポラティブハウスは規模が小さく、1フロアあたりの住戸数が2~3戸程度のものがほとんどなので、隣接住戸との界壁が少なく、開放性の高い計画が可能です。
下図は実際にキューブで事業化したコーポラティブハウスの標準プラン図です。
一般の分譲マンションでも角住戸にはこのようなものも存在しますが、基本的に建物規模が大きいため角住戸は特殊住戸で、大半は上記のような両方を壁で囲まれた住戸となります。
外形は典型的なヨーカン型マンションとほとんど同じ形をしておりますが、左側の壁面だけしか隣接住戸と接しておらず、3方が開放されているのでプランの可能性は全く異なります。
まず、全ての個室に窓があり、独立しています。
お風呂等の水回りにも窓を設ける事が可能です。
住戸外周の大半が外部に面しており、プランに応じて窓の位置、大きさ、形状が自由に変更できるので、プラン変更の可能性が非常に大きいことがご確認いただけることと思います。


このように、住み方に応じた住まいづくりをしようと考えた場合、制約条件が少なく自由度の高いコーポラティブハウスの可能性の高さを実感していただけることと思います。

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