確かに、仲良くなる場合もあるでしょう。
しかし、日本人はディベートにも慣れておらず、議論することにより、様々な遺恨を残します。
その結果、仲良くなる以上に仲が悪くなるリスクが高い事が、震災復興事業で明らかになりました。
数多くのマンション建て替え事業等で、方向性が対立し、一方が他方を排除する形でしか決着できなかった事例が山のように生まれました。
何が良くなかったのでしょうか?
私達は、当事者間による直接的討議という方法そのものにあったのではないかと考えています。
キューブは、直接関わった被災マンションの復興事業で、その事に気づきました。
ある被災マンションは震災前は非常に良好なコミュニティーが形成されていましたが、震災により住民の意見が建替えと補修に2分化し、当事者が直接話し合いにより事態の打開を図ろうとしましたが、会話することもできないほど深刻な溝が生まれてしまいました。
そのような状況で事業に関与することになったキューブは、合意形成の図り方を工夫し、当初反対者を排除することなく、全員参加によりマンション建替え事業を完了することができました。
阪神淡路大震災で被災し震災復興を遂げたマンションは数多くありますが、反対者を排除することなく復興を遂げたマンションは本当にわずかです。
様々な状況下の人々が、地震によって突然当事者にさせられてしまう被災マンションの復興における合意形成の難しさを考えれば、これから新しく家を取得しようとされる方々の合意形成は、決して難しい事ではないと考えています。
キューブで進めるコーポラティブハウスは、コーディネーターがあらかじめ大枠のルールを決め、それに沿って事業を進める形をとっています。
大枠のルールとは合意形成を図るための流れです。
募集時点で合意形成に向けた方法を理解・共有できる方々が参加することにより、円滑で安定した事業運営が可能であると考えています。
コーポラティブハウスに関しては、基本的に参加者の皆さんは初めて事業に参加される方がほとんどで、事業に関わる者の中でコーディネーターが最もコーポラティブハウスに関する経験を持っています。
そこで、キューブは、今までのコーポラティブハウス事業の結果を踏まえて、事業が円滑で安定した形で進めていくために必要な内容を提示し、その内容に基づいて参加者の意見を反映して進めていく形をとっています。
その結果、参加者全員で集まっていただく全体集会は、事業全体を通じて7回程度しか開催しておりません。
このようにすることで、予定したスケジュール、予定したコストで事業を進めることができるようになりました。
また、キューブのコーポラティブハウスでは、原則として参加者間の直接的な討議の場は持たないようにしています。
討議の場を持ってしまうと、今までのコーポラティブハウスと同様、声の大きい自分勝手な人の意見に、参加者全員が振り回されることになりかねません。
では、いかにして参加者の意見を事業に反映するのか?
キューブでは、基本的に参加者の意見等はすべてコーディネーターであるキューブにぶつけてもらうことにしております。
良かれと思ってご提案いただいた意見であっても、キューブの過去の経験上、他の参加者の不利益につながったり、将来的にトラブルにつながる可能性があれば、その旨をご説明しご納得いただくまでやりとりを繰り返します。
そして、結論に至った段階で、全参加者が共有すべき情報であれば、書面化して情報を共有することができるように全参加者に向けて発信します。
その発信内容を見ることで、ご意見を出された方は、コーディネーターとの間で確認した内容が正確に広報されているかチェックすることができます。
また、その広報内容についてご意見のある方がおられれば、その方とコーディネーターが対話を行い、同様のステップを繰り返します。
このようにすることで、参加者全員が冷静な状況で意見を出し、良いものは事業に反映させ、そうでないものはいかなる問題があるから良くないのか、情報を共有することができるようになります。
基本的に、参加者の方々にお願いしているのは、広報された書類は、とりあえず一通り目を通していただくことです。そのことにより、気になる点が出てきた際に、検討する基盤となる知識が自然に身についており、そこから先の議論ができるようになるからです。
このように、一般の方々でも気軽に参加していただける環境を整えたいと考えております。
基本的にコーポラティブハウスに参加される方々の動機は、自分のライフスタイルにあった住まいを、自分の住みたい場所で、納得の価格で取得することです。
コミュニティー形成は望ましいですが、濃すぎるコミュニティーは排除の論理が強くなるので必ずしも良いものとは限りません。
キューブのコーポラティブハウスは、適度な距離感を保ちながら、他者と共存できる環境形成を目指しています。
その為には、直接的に面と向かって議論を重ねることよりも、合理的に論点を整理して、徹底して情報の共有化を図ることが有効であると考えております。
この考え方を、一番最初に明らかにし、その考え方を共有できる方々に参加していただいて事業を進めることによって、従来コーポラティブハウスで難しいとされてきた問題点の解消を図っています。
このことにより、コーポラティブハウスのメリットを最大限に活かし、デメリットを最小限に抑えることができると考えております。
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