2012年5月17日木曜日

コーポラティブハウスのメリット2

2つ目のメリットとして、納得の価格で取得できることが上げられます。
一般の分譲マンションの価格の内訳を、皆様ご存知ですか?

下図左側のグラフが一般の分譲マンションの価格内訳をあらわしたものです。
マンションの価格には、当然そのマンションの建つ土地の土地代が含まれています。
それから工事代金、地盤調査費用や測量費等のその他費用、設計費用、実はマンションを建てるだけであれば、これだけの費用で建てることができます。
これら費用を、原価と言います。


しかし、マンションの価格はこれ以外の費用が含まれています。

まず、販売経費。
分譲マンションでは、あたりまえのようにモデルルームが作られています。
モデルルームを作るには、数千万円の費用がかかります。
この費用はマンションディベロッパーが負担しているのではなく、当然の事ながら事業収支で事業費の中に見込まれており、販売価格に転嫁されているものです。
最近のモデルルームはオプションだらけで、原型をとどめないようなものも少なくありません。
また、高額の家具を配置して、豪華な雰囲気を演出してますが、それらの費用もすべて販売価格に転嫁されています。
さらに、モデルルームは販売が終了すると取り壊して破棄されます。
どれほど立派なモデルルームであったとしても、実際に建つ建物とは全く関係がなく、別途費用計上されているものであり、モデルルームの解体・破棄費用までもが販売価格に含まれています。
また、広告宣伝費も販売経費です。
新聞に分譲マンションの折込チラシが大量に入っていますが、このチラシも入れるたびに高額のコストがかかっています。折込チラシは数万部単位で配布され、それぞれにチラシの製作費、印刷費、折込費がかかっています。
最近ではテレビコマーシャルをしているマンションもありますが、テレビコマーシャルはさらにコストがかかります。
数千万円単位に及ぶ、これらのコストもすべて販売価格に転嫁され、結果として購入者が負担しているのです。

そして、事業利益。
マンションディベロッパーはマンション事業を行う場合、金融機関からの借入資金で事業を行います。
大手中小関わらず、全てのマンションディベロッパーは基本的に借入資金で事業を行っています。
一般的に、金融機関が事業与信を与え、資金提供する最低ラインが10%の利益確保です。
したがって、10%の利益が確保できない事業は融資が受けられず、事業として成立しません。

昨今、長期化する不況とデフレによりマンション価格は下落傾向にあります。
相対的競争力を維持するために、販売価格を抑えようとする圧力がかかります。
こんな時でも、利益10%確保は前提条件であり圧縮することはできません。
不況で販売が難しいとき、販売経費は圧縮するどころか、むしろ膨張要素になります。

そうすると何が起こるか。

本来建物を建てるのに必要な原価を圧縮せざるを得なくなります。
その結果、工事代金にシワ寄せが行き、施工会社間で熾烈な価格競争が行われます。
しかし、国際的な資源高の中、そのシワ寄せは最終的に職人の人件費に転嫁されます。
こんな歪んだ状況では、マンションの住み手にとって最も重要な、工事のクオリティーを高く保つことは困難です。

コーポラティブハウスは、原価の積み上げで構築する事業です。
土地は土地売主から事業参加者が直接取得するので、事業を行う為に金融機関が求める10%の利益を確保する必要がありません。
また、1件1件入居者と担当建築士が打ち合わせをして個別設計するので、モデルルームのようなものもありません。
このように、実際に建物を建てるのに不要な、原価以外の要素を極力排除すれば、結果的に安くなって価格競争力が生まれます。

これはコーポラティブハウスという仕組みから合理的に生まれる競争力であり、工事業者や職人など、一部にシワ寄せを行うことで生まれる歪んだ競争力とは全く異なります。

コーポラティブハウス事業では、この競争力を自覚し、最大限生かす事ができるように工夫することが重要です。

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