キューブのコーディネイトするコーポラティブハウスでは、管理業務を管理会社に委託するようにしています。
そして、その管理会社は、過去に評判の良かった管理会社や、建設組合員の推薦を受けて数社のプレゼンテーションを受け、管理会社の信頼性や費用を相対的に比較し、建設組合が自主的に選定するようにしています。
何故、このような方法をとっているのでしょうか?
分譲マンションでは、あらかじめ管理会社は決められているのが一般的です。
管理会社はディベロッパーの系列会社であることも多いのが実状です。
そうなると、何が起こるのでしょうか?
本来、管理組合は、管理会社を選ぶことができるのですが、一般的に分譲マンションでは販売時点で管理会社は決まっているため、実質的に購入者に選択の余地はありません。
管理業務委託契約は原則として単年度契約で、更新の都度、管理会社は管理組合に対し重要事項説明を行い、契約内容について承認を得なくてはならないことになっています。
しかし、管理会社を変更する為には区分所有者のある一定以上の割合の合意が必要となるので、管理会社に余程の問題があったとしても、管理会社を変更することは大変です。
ましてや、入居して1年後ですら隣人の顔もわからないほど人間関係が希薄であることも珍しくない分譲マンションですから、管理会社の変更について合意形成を図ることは非常に難しい事です。
個々においては多少の不満があったとしても、管理会社変更に必要な合意形成を自ら率先して行う事の大変さを考えれば我慢してしまう事になりがちです。
従って、一度入ってしまうと契約を切られることは稀有ですので、管理会社は非常に安定した収益源を確保することになります。
ディベロッパー系列の管理会社の場合、ディベロッパーが新規物件を事業化する度に仕事が増え続け、契約解除になるリスクが低いので、状況に甘えてしまい管理組合との関係性に緊張感を保つことは困難です。
一方、複数の管理会社の中から管理組合に選定された仕事であれば、働きが悪ければいつでも管理会社が変えられる環境にあることがお互いに確認でき、そのような環境であることが、管理組合と管理会社の関係性に緊張感を与えます。
緊張感のある関係性は、フィーの大小ではなく、どのように関係性を築いているかに依存します。
緊張感があれば、対応が変わります。
高いフィーを払っても、緊張感がなければ対応は悪くなります。
緊張感を維持することができれば、安いフィーでも適切な管理は可能です。
コーポラティブハウスのように、コンパクトなマンションの場合、管理費がとても高くなるのではないかと質問を良く受けます。
ところが、このような理由もあり、実際のコーポラティブハウスにおける管理費の実績は、大規模なマンションの管理費とほとんど変わらないか、むしろ安いぐらいになっています。
これは、私達がコーポラティブハウスの事業に取り組みようになって、最も驚いた事の一つでもあります。
管理組合と管理会社の間に緊張感がないと、結果として管理会社に主導権を持たれてしまいかねません。
本来、管理会社は管理業務の受託者であるにもかかわらずです。
管理組合と管理会社の間に緊張感を保つためには、管理組合が管理会社から自立し、機能してなければなりません。
管理組合が自立して機能する為には、管理組合の構成員である各区分所有者間に、最低限のコミュニケーションを可能とする状況が必要です。
そういう意味で、マンションを健全な状態で維持管理運営する為には、住民間のコミニュケーションが必要不可欠であり、マンションであれば他人と関わり合いを持たずに暮らすことができるというのは幻想にすぎないのです。
かつて、コーポラティブハウスでは自主管理することが多かったようです。
自主管理とは、管理業務を管理会社に委託するのではなく、管理組合が自ら管理する方法です。
自主管理にすれば管理費を節約することができるのですが、管理組合の負担が大きくなります。
特に、機械式駐車場やエレベーター等、法定点検の必要な設備に関して、素人集団の管理組合が適切に管理することは大変です。
また自主管理の場合、清掃業務に関しても自分たちで行うことになります。
就労形態が多様化している現在、入居者が平等な条件で清掃業務を負担しあうことは困難です。
さらに、何か問題が生じた際に、すべて直接討議によって解決しなければなりません。
「コーポラティブハウスはなぜ普及しないのか?」において説明したように、当事者間の直接的な討議による合意形成は困難です。
そこで、キューブのコーポラティブハウスでは、管理会社に管理業務を委託することにより、コーポラティブハウス事業におけるコーディネーターと同様、管理会社が第三者の客観的な専門家として合意形成に介在し、管理組合が円満に意思決定できるようサポートする事を期待しています。
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