2012年6月18日月曜日

1000年集合住宅 誕生!:1


京都で行われたフォーラム、「住み継がれる街づくりフォーラム」で発表した「1000年集合住宅 誕生!」というプレゼンテーションの内容をご紹介いたします。

1000年集合住宅、、、と見ると、まず間違いではないかと思われた方も少なくないのではないかと思います。
間違いではありません。
本気で1000年集合住宅を考えています。
そして、単なるアイデアではなく、すでに具体的な事業として建築確認も終わり、来春には竣工する予定で工事が進められています。
一体、1000年集合住宅とは何なのか?
ここでは、日本の集合住宅の抱える、本質的な問題点に対する一つの回答を提案したいと考えております。
最後までお読みいただくと、「1000年集合住宅」という言葉を通じて何を伝えたいかがご理解いただけることと思います。

まず、現在進んでいるプロジェクトの具体的な立地からご紹介いたします。
場所は京都嵯峨野。
嵐山から散策するのに丁度良い、嵯峨野路沿いに位置します。


このあたりは、最も京都らしさを感じさせる地域の一つとして、行楽シーズンになると多くの観光者が押し寄せます。航空写真を見ていただいてもわかるように、非常に緑豊かな落ち着いた環境です。今回は、この赤線で囲んだ、約1000坪の敷地が計画地です。南に古拙嵯峨二尊院、妙祐久遠寺に隣接する立地。ここで計画する建物の計画内容次第では、非常に大きな影響を周辺地域景観に与えてしまう、重要な場所に位置する土地です。
このような地域ですから規制も厳しくかかっており、第一種低層住居専用地域であるのは当然ながら、歴史的風土保全区域、第一種風致地区(北嵯峨・嵯峨地区)に指定されています。



嵯峨二尊院は紅葉の名所としていられています。
また、妙祐久遠寺は桜、近傍の清凉寺は梅が有名です。
まさに、京都の四季を実感させてくれる環境のど真ん中に位置する場所と言えます。



清凉寺から現地に向かう嵯峨野路はこのような景観です。
緑豊かで低層で、山々の自然が身近に感じられます。
このような地域景観を保護する為に定められた第一種風致地区の条件は非常に厳しく、最低敷地面積は250㎡、許容建ぺい率は20%、許容容積率は50%、高さ制限は8m、敷地内緑地率40%、壁面後退が道路面で3m、道路以外で2mと定められており、まさにがんじがらめの状態です。
しかし、このような規制により乱開発されることなく、このような歴史的風致が今に至るまで守られてきたのだと言えます。

この道を西へ進んでいくと、正面に今回の計画地が見えてきます。
正面の鬱蒼とした森が今回の計画地です。
現地手前の左側が二尊院の入り口になります。
正面やや左に建っている石碑は二尊院の石碑です。

この道路は今回の計画地の手前でゆるやかに北向きに約90度曲がります。
従って、この道路の景観において、本計画地内に生えている緑はアイストップとして非常に大きく機能しており、これが全く異なる形になってしまうと、地域景観に与える影響は甚大であると予想されます。

この道は曲がりきるとそのまままっすぐ北上していきます。
そして化野念仏寺へと向かっていきます。
周辺は、緑豊かな低層住宅地がずっと続いています。

今回の計画地を空から見るとこのようになります。
上が北です。
赤で囲んだ範囲が今回の計画地で、約1000坪強の大きな敷地です。
先ほど見てきた道は、右側の道で、これを右から左に向かってやってきて上に抜けていく経路をたどりました。
計画地の右下のあたりが、ちょうどアイストップとして機能していた緑の集積になります。
南側に妙祐久遠寺と隣接し、その南側に二尊院が広がっています。








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