2012年6月7日木曜日

スケルトン定借事業の実例(塚口CH:4)

定期借地権の課税上の課題

 塚口コーポラティブハウスでは税務処理上、前例のない提案をさせて頂いていますので、そのことについて少し触れさせて頂きます。

 この事業では定期借地権の等価交換という手法を取り入れました。定期借地権を事業化されたことがある方は経験されていると思いますが、定期借地権事業はあまり儲からないスキムだというのが、一般的なイメージかもしれません。
権利金方式にしますと、税金が高くあまり手元に残らない。
そうかといって保証金方式にしますと、低いリスクで高い運用益を見込める事業が少ない。
結局、定借事業は土地利用が固定化される割には収益性が低すぎると感じられているのではないでしょうか。


 今回塚口の事例で利用した等価交換というのは、権利金の額が土地評価の2分の1を越えると譲渡所得になります。
その分を等価交換で床取得に充てれば、その時点では課税が一切発生しないという「立体買換え」の手法を使いました。
結果だけを申し上げますと、土地は約200坪、土地評価は2億2千万円。そこに定期借地権の設定対価として5割を少し越える1億1500万円の権利金を設定し、その1億1500万円で一階部分の床72坪を地主さんに取得していただきました。



 地主さんが取得する1階部分の72坪はご子息が医院として使われますが、一般的に見て坪当たり1万円以上は取れるところですので、店舗床の収入として70万円強の収入が想定されます。
また地代収入として戸当たり2万円くらいいただいてますので、合わせて90万円以上の収入になっていると考えられます。

 以上、この事業の結論を、地主サイドから申し上げると、200坪の土地に資本投下ゼロで年間1000万円以上の収入を発生させる事業だということです。
なおかつこれはつくば方式ですので、建物は将来全部自分のものになるのです。

 ここがこの等価交換方式の非常に重要なポイントです。なぜならば、従来の等価交換では、地主が土地所有権を建物の一部と等価交換するため地主は単なる1区分所有者になってしまいます。30年後、40年後の一区分所有者は非常に限定された権利に過ぎません。
土地と建物との等価交換は長期的に見れば土地が減っているのと同じであり、地主にとってあまりメリットがないのです。

 しかしながら、私どもが提案している定借事業は、等価交換しても何もなくならない土地利用方法です。
基本的には入居者が建物を建てますので、地主は借り入れなしに建物を建てたことと同じです。
30年間のローンを入居者に肩代わりしてもらったようなものです。
しかも医院部分の床も取得した。
そしてその期間が終われば、建物全体は自分のものになる。
なおかつその間土地からの収益も地代という形で得ることができる。
まさに一石二鳥どころか一石三鳥の事業ではないかと思います。


 通常の場合、土地評価の2分の1を超える権利金を設定すると事業費が高くなるので、なかなか募集が難しいという面もありますが、ここで先ほどお話したコーポラティブハウスのメリットが生かされます。
事業利益というデベロッパー利益が必要ではありませんので、その分安く提供できるのです。実際、塚口では、平均して大体80㎡のものが3000万円(建物2300万円+権利金700万円)、地代2万円くらいの設定です。
募集当時の周辺の一般分譲マンションと比較して、平均坪単価で62%ですから、約4割安くなっていました。
地代相当額を当時の金利(募集当時は2%でした)で換算した600万円を加えた土地込価格比にしても75%にしかなりません。かなり安く提供することができたと思います。

この事業の後、「先払い地代方式」でも、定期借地権における税務上のメリットを受けることが可能になりました。
キューブで取り組んだスケルトン定借第2号物件である、宇多野コーポラティブハウスでは、「先払い地代方式」を採用しており、「先払い地代方式」の内容については別途宇多野コーポラティブハウスの紹介の際にご説明させていただきます。


スケルトン定借住宅を中心とした新しい住宅によるまちづくりを支援していくことを目的として、1998年7月6日に「スケルトン定借普及センター」が設立されています。
http://www.skeleton.gr.jp/

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