2012年6月5日火曜日

スケルトン定借事業の実例(塚口CH:2)

コーポラティブハウスの実例紹介



 「塚口コーポラティブハウス」についてご説明させていただきます。
場所は阪急塚口駅から徒歩4分の所です。
駅前には再開発で誕生した「さんさんタウン」というダイエーの入った大きなショッピングモールがあります。
映画館、銀行もあり、利便施設はほぼそろった非常に便利なところです。
少し歩くと、マンションも結構多いのですが、静かな落ち着いた住宅地となり、その一角に位置します。



 事業計画地の面積は約200坪。
地主さんのご子息が診療所を開業される希望がありましたから、建物の1階はすべて診療所用として、70坪強確保しました。
その上に2階に3軒、3階に3軒、4階5階に2軒づつ、6階に1軒の計11軒の住宅が入る計画にしました。
外観は見たところばらばらには見えないのですが、窓とかをよく見ていきますと、全部違っています。
内装、間取りについても各一軒一軒の意向が反映された造りになっています。


 
 実際この計画を具体化する中でどういうことを工夫し、どういうことを感じてきたかということをお話させていただきます。

 私どものキューブという会社は阪神・淡路大震災後に作った非常に若い会社ですが、震災で倒れたマンションの建替えとか、接道不良の土地がどんどん出てきて一戸建てを更新するのにどうすればいいのかとか、共同化して建て替えなければならない話とか、そういう大変ややこしい話にどっぷり浸かった中から、今こういう事業をやり始めています。

 この震災で、それまで顕在化していなかった問題点がいろいろな形で噴出してきたのですが、そういう事業に関わったお陰で、様々な教訓がそこから得られました。
それは、この事業を進めて行く上でも大変参考になりました。

 その代表的な事例の1つとして、神戸市東灘区渦が森でのマンションの建替え事業があります。
ここはもともと50軒のマンションだったのですが、私が係わったときは、建替えか補修かで意見が分かれ、お互い口もきけないくらいの険悪な状況にありましたが、どうにか建替えに話を一本化することができ、建替えに至る事ができました。
この時は法的な問題もあり大変苦労しましたが、どうしたらみんなが納得できる状況を作る事が出来るのか、根気強く丁寧に対応した結果、これは再建事業の中でも希有な例だと思うのですが、当初建替えに反対されていた方も全員再入居という形で事業を終えることができました。



 この仕事で感じましたのは、賛成反対で完全に分裂していて、どうしようもない状況であっても、話の進め方次第でそれなりにまとめ上げていくことができるということです。
そうであれば、コーポラティブのようにもともと家を買いたい人が集まってきたのであれば、そういう人をまとめることは、これに比べれば遙かにたやすいのではないかと思います。

 今までのコーポラティブは、いろいろな問題が指摘され、うまくいかなくて空中分解した例もあると聞いています。
しかしそれは、事業のやり方、進め方に問題があるのであって、その辺りをきっちり整理していけば、もっともっとうまく円滑に進めていけるだろうし、入居される方のリスクも低減できるのではないかと思っています。

 もう一つの六甲の例は、丁度渦が森をやっている途中からやりだしたのですが、従前5軒の長屋が震災で倒壊して、その建替えの相談を受けました。
さまざまな事業シミュレーションの結果、共同化を図る事になりました。
当初ディベロッパーを誘致する方向で動いていたのですが、こういう小さい事業でディベロッパーの利益を確保すると従前地権者の権利評価がほとんでできなくなってしまう。
そこでコーポラティブ方式で事業化する事にしました。
しかし、従前の地権者に80代の高齢の方も多数いらっしゃったので、従来の喧々囂々の議論をしながら進めていくコーポラティブ方式では、とてもではないがやっていけません。
 そこで、参加者のみなさんに公正に平等に、そして利益を還元出来るような方法を、第三者である我々コンサルタントがきっちり提案していくことが出来れば、そして参加者のみなさんがそれに納得していただける環境を作る事ができれば、そのような方々でも十分参加していただけるシステムが作れるのではないか。
そのような事を考え、いろいろな知恵も絞り、こういう苦労を積み重ねながら事業を進めた結果、すばらしい成果を得る事ができたと感じています。


スケルトン定借住宅を中心とした新しい住宅によるまちづくりを支援していくことを目的として、1998年7月6日に「スケルトン定借普及センター」が設立されています。
http://www.skeleton.gr.jp/

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