2012年6月29日金曜日

今までの取り組み(デュプレックス宝塚)

宝塚市の阪急今津線小林駅西側には千種という良好な住宅地が広がっています。
この千種にある、旧みどり銀行の社宅が破綻処理に伴い売却されるという情報が、管財人の弁護士を通じて入ってきました。




小林駅にも非常に近い170坪もある敷地でしたが4mしか接道していない北斜面の旗竿形状で分割することもできず、処分に困っているとの事でした。
千種周辺は、用途地域としては最も厳しい一種低層住居専用地域でもあり、非常に良好な住宅地です。周辺では30区画程度の建売住宅が、6000万円~8000万円程度で供給されており、好調な売れ行きを示していました。従って、ニーズと合致する計画を組み立てることができれば、必ず需要はあると考えられました。




そこで、6軒のテラスハウス形式のコーポラティブハウスを考えました。
敷地の高低差を利用して地下に駐車場を確保し、2階建てメゾネット住宅を6軒横に連結する形状です。構造的には鉄筋コンクリートの計画とし、南側敷地には約4mの高さの擁壁の上に家屋が建っていたので、中庭を設けて中庭から採光を確保し、屋上テラスを設置する計画としました。
中庭を主採光面とすることで、隣接住戸からの視線を気にせず、完全に独立した開放感を確保することができます。 また、屋上テラスからは広く宝塚市内を見渡す眺望を得ることができました。





接地型の計画を活かして、自由度を最大限確保した計画を試みました。
その結果、中庭の位置、形状も各戸バラバラで、各戸のプランに連動した形状となりました。
このような構造計画を実現するために、建物はラーメン構造ではなく、カルバート状の壁構造として、有限要素解析によって計画しました。
個別設計によって、地下室を作ったり、地下住戸から直接地下駐車場に出る事ができたりする住戸も生まれました。




写真でもご確認いただけるように、中庭に面しては最大限開口部を確保していますが、隣戸の壁に向かっているので完全に各戸のプライバシーは確保されています。
中庭は完全なプライベート空間として、屋外リビングのような使い方が可能です。
この中庭も、住戸によってはテラコッタタイルを敷き詰めたり、ウッドデッキで演出したり、様々です。
浴室に関しても、今までは試みなかった、開放性の高い浴室にチャレンジしました。
このプロジェクトは、今までのマンション形式の上下に住戸が重なる建物ではなく、テラスハウス形式の横に連結する建物なので、設備上・構造上の技術的な制約が少なく、自由度の極限までトライする事ができました。
その中で、テラスハウス形式の持つ可能性を実感するとともに、設計的にも様々な経験を得ることができました。

本計画は、エレベーターもなければ、機械式駐車場もありません。
一般のマンションと比較して、維持管理する必要のある機械設備がほとんど無い建物です。
このことにより、管理費が安くて済むだけでなく、修繕維持費も安くなります。

ここでも管理会社に管理業務を委託する形でスタートしましたが、具体的な管理業務内容は、ほとんど事務出納管理がメインとなりました。
このようにすることで、管理関連費を限界までスリム化することができました。
基本的には、マンションの維持管理運営においては、第三者の専門家として管理会社が介在する方が、健全な管理組合運営が図られると私共は考えておりますが、まさにその目的に特化した形で管理会社を利用する環境を作ることが出来たのではないかと考えております。

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