2012年6月14日木曜日

スケルトン定借事業の実例(宇多野CH:4)

そして、宇多野コーポラティブハウスは完成しました。

こちらがアプローチです。
旗竿形敷地という、敷地の特性を生かしたアプローチ計画にすることで、自然と地域になじみ、且つセキュリティーを兼ね備えることができるように期待しています。
写真を見ていただくと明らかなように、この街区に用事のある人はやさしく招き入れ、何か悪事を企む人にはとても入りにくい雰囲気ではないかと思います。

マンション等ではセキュリティー性向上の為にオートロックを採用することが一般的ですが、オートロックを採用すると周辺地域と完全に断絶するだけでなく、悪事を企む人の侵入は防げません。
居住者が入る際について入るなどして内部への侵入を一旦許してしまうと、逆に非常に危険である事は、数多くの事件事例を見れば明らかです。
これは、オートロックを何重にかけたとしても原理的には同じであり、ハードによるセキュリティーの限界でもあります。
このように、アプローチ形状がもたらす心理的バリアにより、街区のセキュリティーを確保しつつ、地域にやさしく開く方法は、非常に有効ではないかと考えています。



アプローチを抜けると、四棟の住棟に囲まれた広場に出ます。
住棟に見守られているような広場なので、この広場に入る時点でも強い心理的バリアが働きます。
この広場を経由して、各住戸にアクセスします。
基本的には、この広場を経由しなければ、各住戸にアクセスする事はできません。
この広場は駐車場の回転体としても利用される広場です。

左側の棟と奥の棟の間には従前地盤の高低差がありますが、そこに育っていた既存樹木をそのまま生かした計画としており、この樹木が視線の干渉を和らげる働きも担っています。



敷地内には既存樹木が多く残っています。
この写真は竣工写真ですが、竣工時点で既にこれだけ緑豊かな空間が実現しています。
そして、その緑が、居住者の距離感を程よく保ってくれます。


夜になると、各家々から明かりが漏れ出します。
その明かりも、緑がやさしく和らげます。
また、共用灯により、夜間でも安心です。


北西の法面を利用した遊歩道です。
この遊歩道を経由して周山街道に出ることも可能です。
ただし、この経路はホテル錠によりロックされており、外部の人がこの経路を使って侵入することはできません。

敷地の高低差を活用して、一部には鉄筋コンクリートによる住戸で崖面を保全しています。
そして、森の中に佇むような住まいを作っています。
こちらの写真は、CGシミュレーションにあった、図書館の中に住むような家と、トップライトのある家の竣工写真です。



こちらは、CGシミュレーションにあった、土間ダイニングキッチンの家です。
他にも、内装がすべて無垢木材でできたリビングの家や、薪ストーブの家、ロフトのある家等々、様々なオリジナルな住まいが実現しました。



引き渡した年の年明けには京都は雪化粧を纏いました。
雪景色の中に佇む、宇多野コーポラティブハウスはとても素敵でした。


広場では子供たちがカマクラや雪だるまを作っていました。
よく見ると、宇多野コーポラティブハウスに住む子供たちは、まるで兄弟のように近所付き合いをしている事がわかりました。
この広場には宇多野コーポラティブハウスに住んでいる人しかいないので、子供たちも安心して遊んでいるようでした。


お昼には晴れ上がり、雪化粧の京都の街並みが見えました。


お正月には皆で餅つきをしました。
住まれている方々が自発的に企画されたそうです。
コミュニティーの輪が広がり始めています。


春には桜が満開になりました。
全ての住棟が囲む広場の大木は、桜の大木だったのです。
自宅に居ながらにして、花見のできる住まいとなりました。



スペースを利用して、皆でハーブを植えることになりました。
引渡してから現在も、居住者自身が参加して、より居心地の良い空間に育ち続けています。




スケルトン定借住宅を中心とした新しい住宅によるまちづくりを支援していくことを目的として、1998年7月6日に「スケルトン定借普及センター」が設立されています。
http://www.skeleton.gr.jp/








0 件のコメント:

コメントを投稿